(2)労働能力喪失率とは何か

 交通事故により後遺症(後遺障害)が残存した場合,その分働けなくなって収入が下がるであろうことが予測されます。
 このような状況について,交通事故事件においては,労働能力を喪失したと捉えられています。
 後遺症(後遺障害)が重篤なものであれば(例えば寝たきり状態を余儀なくされた場合)にはまったく労働ができないでしょうから,100%の労働能力を喪失したと考えていいでしょう(労働能力喪失率100%)。
 もっとも,さほど重篤でない症状の場合には,多少働くことが制限されるにすぎないとして,それほど高い労働能力喪失を認めない扱いになっています。

 自賠法施行令別表第1及び第2の後遺障害等級が認定された場合,その等級が認定された場合にはどれだけ働けなくなったと扱うか,というのを決めるのが,「労働能力喪失率*23」です。

 この労働能力喪失率をいくらにするかについては,以下に掲げる「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」に基づき,自賠法施行令別表第2第4級に該当する場合には92%,同第5級に該当する場合には79%,というように扱われています。

「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」

 もっとも,自賠法に基づく被害者請求の場合はさておき,任意保険会社と交渉する際や交通事故事件訴訟(民事裁判)においては,上記基準が最重視されてはいるものの,絶対的なものとまでは扱われていません。



*23 「労働能力喪失率
 交通事故事件訴訟(民事裁判)においては,「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」を参考とし,被害者の職業,年齢,性別,後遺症の部位,程度,事故前後の稼働状況等を総合的に判断して具体的にあてはめて評価するものとされています(赤本参照)。
 民事訴訟においては,被害者側は,後遺障害等級認定に該当する労働能力喪失率を超える不利益が生じているとして当該後遺障害等級に該当する労働能力喪失率より高い労働能力喪失率を適用すべきと主張することがあります。
 他方,加害者(任意保険会社)側は,「現実に減収となっていない。」ことなどを理由に当該後遺障害等級に該当する労働能力喪失率より低い労働能力喪失率を適用すべきと主張することが多くなっています。
 こうして,「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」に規定される労働能力喪失率を採用すべきか否かで,被害者側と加害者側(任意保険会社側)とで攻防が繰り広げられることが多くなっているのです。
 このように,被害者側としても,後遺障害等級認定に該当する労働能力喪失率を単純に認めてもらえるわけではないため,「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」に規定される労働能力喪失率を認めてもらうためには努力を要することになります。
 また,被害者側において,「労働省労働基準局長通牒(昭和32年7月2日付け基発第551号)別表労働能力喪失表」に規定される労働能力喪失率よりも実際にはさらに高い労働能力喪失率が認められるべきであると主張・立証する場合には,その主張・立証を丹念に行って,裁判所を説得する必要があることになります。



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