Q9 一度債務を完済した後(第1取引),また取引を再開している場合に(第2取引),全体を一連の取引として計算して多額の過払金を回収することは可能ですか?

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A 以下に詳しく述べますが,結論から申し上げると,貸付の方式ごとに多少の違いがあれど,いずれの方式であっても,「事実上1個の連続した貸付取引」と評価される場合であれば,全体を一連の取引として計算して多額の過払金を回収することは可能です。  貸金業者の中には,いわゆる大手の貸金業者のように,基本契約を締結してその基本契約に基づいて貸付と返済を繰り返す方式を採用していることが多いのですが,このような方式の場合については,以下のとおりです。  最判平成20年 1月18日民集 62巻1号28頁は,「同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず,その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である」としています。  それに続け,「第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には,上記合意が存在するものと解するのが相当である。」としています。  その考慮要素としては,以下のものが掲げられています。
  • 第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間
  • 第1の基本契約についての契約書の返還の有無
  • 借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無
  • 第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況
  • 第2の基本契約が締結されるに至る経緯
  • 第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同
 他方,大手とまではいえない貸金業者や事業者ローン会社には,基本契約を締結することなく切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付を行う貸金業者もあります。  このような貸金業者による貸付の方式については,最判平成19年 7月19日民集 61巻5号2175頁が,同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,一度の貸付を除き,従前の貸付の切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その一度の貸付も,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付と同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付は一個の連続した貸付取引と解すべきとした原審の判断をそのまま認めています。

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