債務整理

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第1 債務整理相談全般

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Q1 消費者金融会社(サラ金)等から多額の借入をしており,返済に行き詰まっています。どうしたらよいでしょうか?
A まずは,弁護士に相談されることをお勧めいたします。
弁護士に債務整理を依頼されれば,ただちに弁護士から各債権者に対して「受任通知」を発送いたします。
 この受任通知発送により,貸金業者は債務者に対して直接連絡を取ることが禁止されます(貸金業法21条1項9号/詳しくは,【個人の債務整理】(1)弁護士に債務整理を依頼されたらをご参照下さい。)。
 また,弁護士に依頼されれば,故人の債務整理については,自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続のうち,最善の方法を選択することができます(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。)。
 上記4つの手続のうちいずれの手続を選択すればよいかは,以下のような様々な要素を検討することになります。
  • ・借入総額
  • ・借入の種別(貸付金かショッピング等の利用による立替金か)
  • ・借入先の性質(消費者金融会社や信販会社,銀行等の別)
  • ・借入期間(債務総額の圧縮が可能か,過払金の発生を見込むことができるか)
  • ・相談者様の収支の状況
  • ・住宅ローンを抱えているか
  • ・住宅ローン以外に(根)抵当権設定登記がなされているか
  • ・住宅ローンを滞納しているか
  • ・自己破産手続を選択した場合の資格制限に該当する職種に就職しているか
 弁護士に相談されれば,これらの要素を検討し,相談者様にとっていずれの手続が最善か(場合により,自己破産手続と過払金回収手続を組み合わせる等の処理もあります。),選択することができるのです。
Q2 債務整理を行った場合のメリット・デメリットにはどういうものがありますか?
A (1)債務整理のメリットとしては,大きく次の2つがあります。
  • ①取立ての禁止
     弁護士に債務整理を依頼されれば,ただちに弁護士から各債権者に対して「受任通知」を発送いたしますので,この受任通知発送により,貸金業者は債務者に対して直接連絡を取ることが禁止されるので(貸金業法21条1項9号),債務整理を行えば,少なくとも当面は返済の必要がなくなります。
  • ②債務の圧縮等
     債務整理のうち,自己破産手続を選択すれば,債権者に配当するような財産がなければ債務を全く支払わずにすむことになりますし,個人再生(民事再生)手続を選択した場合でも総債務額を大きく圧縮することが可能です。
     また,任意整理手続でも,利息制限法に定める利息に引き直して計算し,遅延損害金や将来利息をカットすることもできるので,総債務額の圧縮が可能です。
     さらに,過払金回収手続が可能な場合には,債務を支払うどころか財産を増加させることができるときもあります。
(2)債務整理のデメリットとしては,大きく,次の3つがあります(ただし,残債務がある場合に限られます。)。
  • ①キャッシュカードやクレジットカードが使えなくなったり,今後,新たな借入が難しくなったりすること  債務整理のうちのいずれの手続をとるにせよ,弁護士からの受任通知を受領した段階で,貸金業者はその債務者について事故情報を載せることになります(いわゆる「ブラックリスト」)。
     そのため,弁護士に債務整理を依頼された場合,消費者金融会社(サラ金)に借金のある方がその消費者金融会社(サラ金)を利用できなくなるのはもちろん,信販会社に借金のある方はその信販会社の発行するクレジットカード(そのクレジットカードと連動するETCカード等も含みます。)を利用できなくなります。
  • ②銀行等の金融機関が債権者となっている場合,その金融機関の預金口座が使用できなくなること  銀行等の金融機関からバンクカード等のカードローンを組んでいてその金融機関からも借入がある場合,その金融機関は,弁護士からの受任通知を受領した段階で,依頼者の方(債務者)の預金口座を凍結し,その金融機関にある預金と貸付金の相殺を行います。
  • ③(連帯)保証人に対する請求に対する一括請求の危険性
     貸金業者等からの債務について依頼者の方が主債務者となっていて,ほかに(連帯)保証人の方がいる場合で,その(連帯)保証人については債務整理を依頼されていないときには,主債務者が分割払いをしている場合でも,主債務者が支払を停止したことにより期限の利益を喪失し(債務の支払を怠った場合に債務者が分割弁済する利益を失うこと),貸金業者が(連帯)保証人に対して,一括弁済を求めることができるようになります。
詳しくは,【個人の債務整理】(3)債務整理を依頼された場合に注意すべき点をご参照下さい。
 ただし,これらのデメリットは,債務の返済が滞ってしまった場合にも生じるものばかりですので,債務の返済に行き詰まってしまっている方にとってはやむを得ないものばかりということもできます。
 ですから,債務の返済に行き詰まってしまっているか,または行き詰まりそうになっているのに,債務整理のデメリットをおそれて債務整理を行わないというのは本末転倒ではないかと思います。
Q3 債務整理を行うと,今後二度と借入ができなくなるのですか?
A 債務整理を行うと,いわゆる「ブラックリスト」に載ってしまうことがほとんどです。
 消費者金融会社等から借入をした情報は,各信用機関(㈱CIC等)の個人信用情報に載せられますが,長期の延滞をした場合等と同様に,弁護士による受任通知が発送された場合にも「事故情報」として登録されることが「ブラックリスト」に載るということの中身です。
 事故情報に登録される期間は,一般的に5~7年ほどといわれています。
 そのため,その期間中は,一般的に新たな借入が困難といえます。
 もっとも,それ以上期間が経過している方でも新規の借入を拒絶される場合もありますし,その期間内でも消費者金融会社等から借入ができたり住宅ローン審査がおりたりする方もいらっしゃいますので,ブラックリストが絶対的な基準となっているわけではないようです。
 なお,平成22年4月19日以降,過払金回収(返還請求)のみによっては各信用機関のブラックリストに載らない扱いとなっていますので,過払金回収手続を選択できるときには,ブラックリスト入りをおそれなくてよいことになっています。
 ただし,現状で債務の返済に行き詰まってしまっているのであれば既にブラックリスト入りしている可能性が高く,また債務の返済に行き詰ま利そうな場合にはいずれブラックリスト入りしてしまう可能性が高いのですから,債務整理を行わなくても,同じ状況に陥る可能性が高いわけで,「ブラックリスト」に載ってしまうことを過度におそれるべきではないでしょう。
Q4 債務整理を行うと家族に迷惑がかかりませんか?
A 自宅が相談者様の持ち家で同居のご家族がいるのに自己破産手続を選択せざるを得ない場合やご家族が相談者様を主債務者とする債務について(連帯)保証人となっている場合を除き,相談者様のご家族に迷惑をかけることはありません。
 自宅が相談者様の持ち家で同居のご家族がいるのに自己破産手続を選択せざるを得ない場合には,ご自宅を手放さざるを得ないので,ご家族に迷惑をかけてしまうことになります。
 貸金業者等からの債務について依頼者の方が主債務者となっていて,ほかに(連帯)保証人の方がいる場合で,その(連帯)保証人については債務整理を依頼されていないときには,主債務者が分割払いをしている場合でも,主債務者が支払を停止したことにより期限の利益を喪失し(債務の支払を怠った場合に債務者が分割弁済する利益を失うこと),貸金業者が(連帯)保証人に対して,一括弁済を求めることができるようになります。
 そのため,ご家族が相談者様の債務について(連帯)保証人となっているケースでは,迷惑をかけてしまう危険があります。
 しかし,これらのデメリットは,債務の返済が滞ってしまった場合にも生じるものばかりですので,過度におそれても仕方がないといえるでしょう。
 むしろ,弁護士に債務整理を依頼されれば,ただちに弁護士から各債権者に対して「受任通知」を発送し,この受任通知発送により,貸金業者は債務者に対して直接連絡を取ることが禁止されるため(貸金業法21条1項9号/詳しくは,【個人の債務整理】(1)弁護士に債務整理を依頼されたらをご参照下さい。),むしろご家族にとっては債務整理を行ったほうがよい場合が多いでしょう。
 また,債務整理を行うことにより債務の圧縮等が可能なため,この点でもご家族にとっても債務整理を行ったほうがよい場合が多いといえます。
Q5 勤務先会社に借入について発覚しないように(ばれずに)債務整理することは可能ですか?
A 弁護士に債務整理を依頼されれば,ただちに弁護士から各債権者に対して「受任通知」を発送いたします。
 この受任通知発送により,貸金業者は債務者に対して直接連絡を取ることが禁止されるため(貸金業法21条1項9号/詳しくは,【個人の債務整理】(1)弁護士に債務整理を依頼されたらをご参照下さい。),勤務先会社にまで督促がなされることはなくなります。
 むしろ,弁護士に債務整理を依頼されることなく借金の返済が滞ってしまった場合には勤務先会社にまで督促がなされることが多く,それにより勤務先会社に発覚することが多いので,借金返済に行き詰まりつつあることを実感するようになったら直ちに弁護士に相談されることをお勧めします。
 個人の債務整理には,大きく自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続がありますが(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。),このうち,任意整理手続または過払金回収手続を選択した場合には勤務先会社に発覚する心配は全くありません。
 また,自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択した場合でも,その勤務先会社に対する借入金がない場合またはちょっとした前借り程度の借入金であれば,勤務先会社に対して連絡する必要がないので,勤務先会社に発覚する心配はありません。
 もっとも,自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択した場合で,勤務先会社に対する貸付金が膨大なときには勤務先会社も債権者と扱わざるを得ませんので,そのときには勤務先会社に発覚してしまうこととなります。
Q6 家族に内緒で債務整理を行うことはできますか?
A 個人の債務整理には,大きく自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続があります(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。)。
 このうち,自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択された場合には,同居のご家族に内緒にするのは難しいですが(自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択された場合には,同居のご家族の収入資料を裁判所に提出する必要があるためです。),任意整理手続または過払金回収手続を選択される場合や,ご家族がご相談者様と別居されており,かつご相談者様の債務について連帯保証人等になっていない場合には,家族に内緒で債務整理を行うこともできることになります。
 しかし,債務の返済等についてはとりわけ同居のご家族のご協力が重要となりますので,債務の返済に苦しんでいることをご家族に打ち明けられたほうがよいと思います。
 その上で,弁護士に依頼され,適切な解決策をみつけるべきでしょう。
Q7 債務整理をしたら,住んでいる家から退去しなければならないのですか?
個人の債務整理には,大きく自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続があります(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。)。
 このうち,ご相談者様が居住されている家がご自身の持ち家の場合には,自己破産手続を選択されたときには居住されている家を失うことになりますが,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続または過払金回収手続を選択されたときには居住されている家を失うことはまずありません。
 とりわけ,個人再生(民事再生)手続において住宅資金特別条項付のものを選択されれば,持ち家を残しつつ総債務額を大きく圧縮することが可能です。
 他方,ご相談者様が居住されている家が賃借物件である場合には,その賃料を滞納していない限り,退去する必要はありません。  この点,賃貸借契約においては,賃借人が自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択した場合には契約を解除する旨の条項が入っていることが多いのですが,賃料の滞納さえなければ,賃借人が自己破産手続または個人再生(民事再生)手続を選択した事実が賃貸人に発覚すること自体がないためでしょうか,問題とされたケースはみたことがありませんので心配いらないでしょう。
 ただし,自己破産手続を選択される場合で賃料を滞納していてその賃料滞納を解消できないときには居住されている家から退去せざるを得なくなりますので,賃料を滞納するほど追い込まれる状況になる前に弁護士に相談されることをお勧めいたします。
Q8 債務整理を依頼する際の費用が心配なのですが,大丈夫でしょうか?
A 当事務所の弁護士費用等については, 報酬規定をご参照下さい。
 また,当事務所においては,分割払いによる対応が可能ですし,特種な弁護士費用捻出のための方策を実行することができるときもあります(【個人の債務整理】(6)自己破産手続 > カ 破産申立てのための特殊な弁護士費用捻出方法ご参照。)。
 それでも弁護士費用の支払が困難だと判断される場合で相談者様の資力・資産が一定以下のときには,日本司法支援センター(法テラス)による民事法律扶助制度の活用にも対応しております。
 また,債務整理相談は無料ですので,費用の面がご心配でもお気軽にご相談下さい。
Q9 債務整理は弁護士と司法書士のどちらに依頼したらよいのですか?
A 債務整理に関するありとあらゆる問題に対処できる弁護士に依頼されたほうがよいと思います。
 個人の債務整理には,大きく自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続がありますが(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。),いずれの手続においても弁護士に依頼された場合と司法書士に依頼された場合で,大きな違いが出ます。
 司法書士のうち,法務大臣の認定を受けた司法書士であれば,簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができることになっています(簡裁訴訟代理等関係業務)。
 しかし,それでも140万円以下という制限がかかっているため,任意整理手続や過払金回収手続において認定司法書士では行えない業務が残る可能性が高くなっています。
 また,自己破産手続や個人再生(民事再生)手続は地方裁判所の扱う事件であるため,司法書士は書面を作成して裁判所に提出することしかできず,弁護士のように代理人として活動することができません。
 さらに,自己破産手続を選択した場合,司法書士に依頼されたときには破産管財事件として扱われる可能性が高まり,かつ破産管財事件として扱われた場合の予納金の最低額は,弁護士に依頼されたときよりも高額となっているケースが多くなっています。
 加えて,横浜地方裁判所管内(神奈川県全域)にお住まいの方が個人再生(民事再生)手続を選択される場合,弁護士に依頼された場合には原則として再生委員が選任されず司法書士に依頼された場合には必ず再生委員が選任されるので,再生委員の報酬18万円について負担するかどうかという点でも大きな違いが生じます。
 なお,一般的には弁護士と司法書士の費用については司法書士のほうが低額という印象があるようですが,様々なケースを見聞する限り一概には言えないように思います。
Q10弁護士事務所(法律事務所)はたくさんありますが,どの事務所に依頼するのがよいのですか?
A 最終的には相談者様のお考えと決断次第というしかありませんので,ご自身でよく考えて選んでいただくことになります。
 しかし,いずれの事務所を選択されるかに関しては,以下のような要素は考慮されると良いように思います。
(1)その事務所に通いやすいか
 個人の債務整理の方法には大きく自己破産手続,個人再生(民事再生)手続,任意整理手続,過払金回収手続の4つの手続がありますが(詳しくは, 【個人の債務整理】(4)債務整理の方法をご参照下さい。),いずれの手続を選択されるにせよ,依頼するとき以外にもその事務所に赴く必要が生じることが多くなっています。
 また,電話や電子メールでのやりとりだけでは上手くいかないときもあります。
 そのため,通いやすい事務所を選択するほうがよいと思います。
(2)弁護士自身が対応してくれそうか
 債務整理に限らず,弁護士の受任する事件というのは,弁護士と依頼者との間に信頼関係が築けないと成り立ちません。
 また,債務整理の遂行中に,何かわからないこと,対処してもらいたいことが生じることもよくあります。
 このようなときに,法律事務所職員(事務員/秘書)任せで自分では何ら対応しない弁護士では困ります。
 そのため,依頼した場合にその弁護士自身が対応してくれそうな事務所を選択するほうがよいと思います。
(3)債務整理に精通している事務所か
 債務整理は,多くの弁護士が手がけているにもかかわらず,意外に依頼される弁護士によって処理の巧拙に差が出る分野であると実感します。
 裁判所から破産管財人や再生委員として選任されることの多い事務所であれば,いわば債務整理の出口について熟知している上,裁判所からもそのような信頼を受けているわけですから,自ずとどのような債務整理を選択すればよいか,どのように遂行すればよいのかがわかっているということができるのです。
(4)「実費」や「日当」が高額でないか
 裁判所を利用する自己破産手続や個人再生(民事再生)手続においては官報公告費用等が生じますが,任意整理手続や過払金回収手続の場合には,訴訟提起する際の訴訟印紙代や郵券(郵便切手)・登記印紙代を除けば,特段実費がかかることはありません。
 それにもかかわらず実費がやたらと高額な事務所や,訴状や準備書面の作成についていちいち手数料がかかる契約になっていたり法廷に行くたびに日当が発生したりするような事務所もあるようですが,このような事務所は避けたほうがよいと思います。

第2 自己破産手続

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Q1 自己破産手続はどのような場合に用いることができるのですか?
A 支払不能であると認められること,及び免責許可決定に意味があり,かつ免責許可決定が得られそうであることが必要になります。
(1)支払不能について
 裁判所が破産手続開始決定を下すには,個人の債務者の場合,債務について支払不能であることが認められなければなりません(破産法15条1項)。
 そのため,個人の債務者が自己破産手続を選択されるには,まず,債務について支払不能と認められる必要があります。
 そして,債務者が支払を停止したときには支払不能と推定されるので(破産法15条2項),弁護士が依頼を受け,受任通知を発送した段階で支払を停止することになりますので,弁護士に破産を依頼した時点でまず支払不能であると評価されることになります。
 もっとも,依頼者様の収入や財産の割にあまりに総債務額が小さいと支払不能と裁判所が認めないときもあります。
 ただし,よほど高収入の方以外では総債務額100万円程度以上であれば支払不能と認めてもらえているというのが実感です。
(2)免責許可決定に意味がある場合または免責許可決定が得られそうであることについて
 自己破産手続は,債務について支払わなくてよいという免責許可決定を得るために選択するものですが,免責の対象とならない(仮に免責許可決定がなされても支払義務が残る)債務ばかりというような場合(これを「非免責債権」といいます。)には,自己破産手続を選択しても意味がないということになります。
 非免責債権には租税等の請求権がありますが,詳しくは, 【個人の債務整理】(6)自己破産手続 オ 免責の効果をご参照下さい。
 また,自己破産手続は,債務について支払わなくてよいという免責許可決定を得るために選択するものですから,およそ免責許可決定が得られそうにないときには選択する意味がないこととなります。
 浪費等の免責不許可事由がない場合または免責不許可事由があってもその程度が著しく悪いというものではないために裁量免責を受けられそうな場合には免責許可決定を受けることができますが,債務の原因が通常では考えられないようなあまりにも著しい浪費にあるような場合には,自己破産手続を選択できないということになります。
 なお,免責不許可事由,裁量免責の詳細については,【個人の債務整理】(5)手続選択の基準の脚注「免責不許可事由」,「裁量免責」をご参照下さい。
Q2 債務整理を行った場合のメリット・デメリットにはどういうものがありますか?
A 債務整理を行うことによるメリット・デメリットについては,第1「債務整理全般」のQ2「債務整理を行った場合のメリット・デメリットにはどういうものがありますか?」をご参照下さい。
 自己破産手続の最大のメリットは,財産がまったくないかほとんどない場合には債務をまったく支払わずにすみ(同時廃止事件),また財産が一定額以上ある場合でもその保有する財産の一部を破産管財人に引き渡すだけですむということにあります。

 他方,自己破産手続特有のデメリットとしては,同時廃止事件と破産管財事件共通のものとして,大きく以下の4つがあります。
なお,同時廃止事件と破産管財事件の詳細については,【個人の債務整理】(6)自己破産手続 > ウ 自己破産手続の概要をご参照下さい。
① 一定程度以上の財産を所有している場合,その財産を失ってしまうこと  20万円以上の財産を有している場合,破産管財事件となってしまい,手元に残してよい財産(自由財産)や破産手続開始決定後に得られる財産(新得財産)を除き,破産管財人に管理処分権が委ねられる(取り上げられてしまう)ことになります。
 なお,破産した場合にどのような財産を手元に残すことができるかということの詳細については,【個人の債務整理】(6)自己破産手続 エ 自由財産等をご参照下さい。
② 官報に掲載されてしまうこと
 自己破産手続を選択されると,破産手続開始決定(裁判所が債務について支払不能であることを認めて決定したこと)が下されたとき等にその事実が官報に掲載されてしまいます。
 ただし,ほとんどの方は官報をご覧にならないので,自己破産手続を選択した事実が周囲の方に発覚するということはまずあり得ません。
③ 資格制限
 自己破産手続を選択されると,弁護士,警備員等一定の資格に基づいて就労している方は,資格制限に該当し,一定期間その資格に基づいて就労することができなくなってしまいます。
 しかし,これらの資格制限についても,裁判所において破産手続開始決定を受けた後,復権を得る(免責許可決定を受ける)までの間に限られますので,通常は2~3か月間だけの制限となっています。
④ 特定の債務だけ支払うということができないこと
 自己破産手続を選択されると,すべての債務についての支払を停止する必要がありますので,(連帯)保証人付の債務だけを支払うとか自動車を手元に残したいから自動車ローンのみ支払を継続するといったことはできなくなります(ただし,破産を申し立てる方以外の第三者が支払うことまで禁止されるわけではありません。)。

 また,破産管財事件となった場合のデメリットとしては,さらに以下の2つがあります。
 ただし,これらの制限も期間が制限されているので,それほど大きいデメリットとはいえないでしょう。
⑤ 郵便物の転送
 破産手続開始決定後,少なくとも第1回債権者集会期日までの2~3か月の間,破産者宛て郵便物がすべて破産管財人に転送され,開封して財産隠し等がないかどうかチェックされた上で返却されます(破産法190条参照)。
⑥ 居住の制限
 破産手続開始決定後,免責許可決定がおりる,少なくとも2~3か月の間,破産管財人の同意を得て裁判所の許可を受けなければ,居住地を離れて転居したり長期の旅行をしたりすることができません(破産法37条1項参照)。
Q3 自己破産手続を選択すると子どもや親族の就職や結婚に支障が出たり,選挙権を失ったりすることがあるのですか?
A これらは,よく受ける質問なのですが,ご心配はいりません。
破産手続開始決定が下されると,破産者の本籍地の市区町村役場における「破産者名簿」に記載されるのですが,これらは閲覧の対象になっていません。
 また,全部事項証明書(戸籍謄本)や住民票を取得した際に自己破産手続を選択した事実が記載されることもありません。
 破産手続開始決定後,復権を得る(免責許可決定がおりる)までの期間(一般的には2~3か月),市区町村役場において取得できる身分証明書には自己破産手続を選択した事実が記載されますが,身分証明書の提出を求められることはまずありませんし,破産手続開始決定後,復権を得る(免責許可決定がおりる)までの期間も限られているので,ご心配は無用でしょう。
 ですから,自己破産手続を選択することで,子どもや親族の就職や結婚に支障が出るという事態はまずあり得ません。
 また,自己破産手続を選択しても,選挙権や被選挙権を失う(公民権停止)ということもありません。
Q4 自己破産手続を選択すると,財産をすべて取り上げられてしまうのですか?
A 一定程度の財産を有している場合には破産管財事件となってしまい,高額な財産については換価処分の対象となるので相談者様の手元に残すことはできませんが,それ以外のものは手元に残すことができます。
 破産した場合にどのような財産を手元に残すことができるかということの詳細については,【個人の債務整理】(6)自己破産手続 エ 自由財産等をご参照下さい。
 債務者等の生活に欠くことができない衣服,寝具,家具,台所用具,畳及び建具については,差押禁止財産となっていますので(民事執行法131条),取り上げられることはありません。
 また,自動車についても,自動車ローンを組まずに購入したか自動車ローンを完済済のもので,売却しても20万円に満たないようなときには手元に残すことができます。
 さらに,解約返戻金の存しない掛捨型の保険についてはそのまま継続することができますし,解約返戻金の存する保険であっても自由財産の拡張の必要性を訴えたりその解約返戻金相当額を別途用意したりすることで保険をそのまま継続することが認められるときもあります。
Q5 個人事業主で,事業を継続しながら自己破産手続を選択することができますか?
A 個人事業主の場合,債務をつくった原因がその事業の失敗にあることが多く,その事業を継続するのでは仮に自己破産手続を選択することにより既存の債務について免責されたとしても,今後の事業及び生活設計の見通しが立たない可能性があります。
 また,自己破産手続を選択することで,事業の継続に不可欠な什器備品類等が換価の対象となる(取り上げられる)可能性もあります。
 さらに,債務をつくった原因がその事業の失敗にある以上,事業を継続しながら自己破産手続を選択することについて債権者の納得を得られないという理由で,裁判所が自己破産手続の選択に難色を示し,個人再生(民事再生)手続を選択するよう求められることもあります。
 しかし,これらの条件をクリアすることができるのであれば,個人事業主が,事業を継続しながら自己破産手続を選択することもできることもあります。
 ただし,破産手続開始決定前に原因がある売掛金は,基本的に,換価の対象として取り上げられてしまう可能性が高いので,それでも当面の生活が成り立つかという点には注意が必要です。

第3 個人再生(民事再生)手続

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Q1 個人再生(民事再生)手続はどのような場合に用いることができるのですか?
A 個人再生(民事再生)手続(ここでは,総支払額を大きく圧縮することが可能な小規模個人再生に限ったものとして説明いたします。)は,以下の3つの条件を充たす場合に利用することができます。
① 支払不能のおそれがあること
 個人再生手続は,「支払不能のおそれ」がある場合に利用することができます(民事再生法21条1項前段,破産法15条1項)。  このように,破産手続以上に緩やかな要件になっています。
② 債務額が5,000万円以下の個人債務者であること
 法人でない,個人債務者で,住宅ローン債権や抵当権の実行等により弁済を受けることができる額を除いた債務額が5,000万円以下である場合に利用することができます。
 また,ここでいう債務額は,利息制限法所定の利率による引直計算後の金額を指しますので,引直計算後の金額が5,000万円以下であれば利用することができます。
③ 継続的にまたは反復して収入を得る見込みのある者であること
 サラリーマンでなくても,小規模個人事業主等でも利用することができます。
Q2 個人再生(民事再生)手続を選択した場合,どれくらいの金額をどのように返済しなければならないのですか?
A (1)弁済期間等
    個人再生(民事再生)手続(ここでは,総支払額を大きく圧縮することが可能な小規模個人再生に限ったものとして説明いたします。)を選択すると,弁済期間等については次のように定められています。
 弁済期間は原則として3年ですが,特別の事情があるときは,5年とすることができることとなっており(民事再生法229条2項2号),3年では返済が難しいが5年であれば返済できるというときには5年で返済することができます。
 個人債務者は,この3年または5年の期間,3か月に1回以上の割合で分割弁済を継続する必要があり(同項1号),一般的には毎月1回支払うことになります。
(2)返済金額
 どれくらいの金額を返済しなければならないかについては,最低弁済基準額と清算価値保障原則により算出された金額のうち,より多い金額となります。
 最低弁済基準額と清算価値保障原則については,【個人の債務整理】(7)個人再生手続 ウ 個人再生手続の概要 の「(エ) 最低弁済基準額」及び「(オ)清算価値保障原則」 をご参照下さい。
Q3 住宅(持ち家,持ちマンション)を残しながら債務の返済額を圧縮するにはどうしたらよいのですか?
A 個人再生(民事再生)手続のうちの,住宅資金特別条項付の小規模個人再生手続を選択されれば,住宅(持ち家,持ちマンション)を残し,住宅ローンを従前どおり支払ながら,他の債務について総返済額を大幅に圧縮することが可能です。
 他の債務についての総返済額は,最低弁済基準額と清算価値保障原則により算出された金額のうち,より多い金額に圧縮することができます。
 総返済額の詳細については,Q2をご参照下さい。
 なお,どのような場合に住宅資金特別条項付の個人再生(民事再生)手続を選択することができるかについては,【個人の債務整理】(7)個人再生手続 エ 住宅資金特別条項 をご参照下さい。
Q4 他の手続ではなく個人再生(民事再生)手続を選択することにはどのようなメリット・デメリットがありますか?
A 債務整理を行うことによるメリット・デメリットについては,第1「債務整理全般」のQ2「債務整理を行った場合のメリット・デメリットにはどういうものがありますか?」をご参照下さい。
 個人再生(民事再生)手続(ここでは,総支払額を大きく圧縮することが可能な小規模個人再生に限ったものとして説明いたします。)のメリットは,次の3つです。
① 総返済額を大幅に圧縮することが可能であること
 利息制限法の法定利率に引き直してもなお多額の債務が残るような場合であっても,任意整理手続と異なり,総返済額を大幅に圧縮することが可能です。
 総返済額の詳細については,Q2をご参照下さい。
② 自己破産手続を選択すると免責不許可となる場合でも利用可能なこと  債務の原因が通常では考えられないようなあまりにも著しい浪費にあるような場合で,自己破産手続を選択しても免責不許可となる公算が高いといえるようなときにも個人再生(民事再生)手続を用いることができます。
③ 住宅を残すことが可能なこと
 住宅資金特別条項を活用すれば,住宅ローンについては従前どおり支払ながらも住宅を手元に残すことが可能です。
個人再生(民事再生)手続のデメリットとしては,以下のものがあります。
① 債務を支払う義務があること
 大幅に債務を圧縮できるとはいえ,自己破産手続を選択したときと異なり,どうしても一定額については債務を支払う必要が残ります。
② 積極的に反対する債権者がいた場合に用いることができないときがあること
 裁判所は,再生計画案及び報告書が提出されたときに,再生計画案を書面による決議に付する旨の決定を行います(民事再生法230条3項)。
 書面による決議に付する旨の決定が行われると,積極的に再生計画案に不同意を表明する者が議決権者(債権者)の半数に足らず,かつ議決権数の2分の1を超えないとき,再生計画案は可決されます(民事再生法230条6項)。
 他方,債権者の半数が積極的に再生計画案に不同意を表明するか,全体の債権額の半分以上を有する債権者が積極的に再生計画案に不同意を表明すると,再生計画案は否決され,再生手続は廃止されてしまいます。
 再生手続が廃止されてしまうと,依頼者の方は自己破産手続を選ぶか任意整理手続を選ぶかになってしまいますので,この点がデメリットになります。
 もっとも,債権者からすれば自己破産手続よりも個人再生(民事再生)手続のほうが総弁済額が多くなることが多く,債権者が積極的に不同意を表明することはほとんどありませんので,この点を心配する必要はほとんどありません。
③ 特定の債務だけ支払うということができないこと
 個人再生(民事再生)手続を選択されると,住宅資金特別条項を定めるときの住宅ローンを除きすべての債務についての支払を停止する必要がありますので,(連帯)保証人付の債務だけを支払うとか自動車を手元に残したいから自動車ローンのみ支払を継続するといったことはできなくなります(ただし,個人再生(民事再生)を申し立てる方以外の第三者が支払うことまで禁止されるわけではありません。)。
Q5 住宅ローンの支払を既に滞納しているのですが,それでも個人再生(民事再生)手続を選択することができますか?
A 理論上では可能ですが,実際に個人再生(民事再生)手続を選択して遂行できるかどうかはケース・バイ・ケースというほかありません。
 理論的には,住宅ローン債権者との間で住宅ローンの返済方法についての合意を取り付けることができれば,住宅資金特別条項付の個人再生(民事再生)手続を選択することにより,住宅ローンについてその合意どおりに返済しながら他の債務について総返済額を圧縮することが可能です。
 また,住宅ローンの返済を滞納しているにとどまらず,既に相当期間滞納してしまったために住宅ローンについて保証会社が代位弁済をしてしまったというケースでも,住宅ローンについては,保証会社による保証を受けることが融資条件となっているのが一般的で,保証会社が保証債務の履行をしたことにより住宅資金貸付債権を代位取得した場合には,保証債務の全部を履行した日から6か月を経過する日までの間に再生手続の申立てがなされれば,住宅資金特別条項を定めることが可能になっています(民事再生法198条2項)。
 なお,どのような場合に住宅資金特別条項付の個人再生(民事再生)手続を選択することができるかについては,【個人の債務整理】(7)個人再生手続 エ 住宅資金特別条項 をご参照下さい。

第4 任意整理手続

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Q1 なぜ弁護士に依頼すると債務額の圧縮が可能になるのですか?
A 任意整理手続は,基本的に利息制限法所定の利率に引き直した(「引直計算」)後の元金を基礎に返済する方向で和解する手続です。
 債務者の方は,本来支払う必要のない利息制限法を超える利息部分を支払ってきているので,この利息制限法を超える利息部分を元金に充当し元金の減額を図ることができ,これを「引直計算」といいます。
 引直計算の詳細については,【個人の債務整理】(4)債務整理の方法 の脚注「引直計算」をご参照下さい。
 もっとも,引直計算を行うことにより債務額を圧縮できるのは,利息制限法の適用のある「金銭を目的とする消費貸借」(利息制限法1条)に限られ,信販会社に対する債務のうち,貸金部分については利息制限法の適用があり債務の圧縮が可能ですが,ショッピング等による利用による立替金部分については利息制限法が適用されず(東京地判平成4年4月9日金融法務事情1351号37頁等),債務額を圧縮することができません。
 また,銀行や信金・信組からの借入などの場合も,利息制限法に定める上限利率以下の利率での貸付となっているので,弁護士に依頼されても債務額を圧縮することはできません。
 ただし,こういった場合であっても,「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準」どおりに和解することができれば,遅延損害金等をカットすることができ,債務額を圧縮することが可能です(この点の詳細はQ2をご参照下さい。)。
Q2 任意整理手続を選択した場合,既に発生している利息・遅延損害金や将来利息を支払わないで解決することができるのですか?
A 「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準」のうちには,任意整理における和解案(弁済案)の提示にあたっては,貸金業者と債務者との最終取引日(借入または返済)以降の利息をつけないことが定められており,貸金業者にこの基準に従ってもらうことができれば,既に発生している利息・遅延損害金のうち,貸金業者と債務者との最終取引日以降に発生する利息・遅延損害金(分割払いとなった場合の将来利息を含む。)を支払わずに解決することが可能です。
 なお,「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準」の詳細については,【個人の債務整理】(5)手続選択の基準 の脚注「クレジット・サラ金処理の東京三弁護士会統一基準」をご参照下さい。
 しかし,近時,支払日までの利息・遅延損害金を含めた金額の一括払いでないと和解しないと述べたり,分割払いは認めても最終取引日以降の利息・遅延損害金のみならず将来利息も含めて支払わないと和解しないと述べたりする貸金業者が増加し,任意整理手続を選択することが困難な事例が増えているので,注意が必要です。
Q3 他の手続ではなく任意整理手続を選択することにはどのようなメリット・デメリットがありますか?
A 債務整理を行うことによるメリット・デメリットについては,第1「債務整理全般」のQ2「債務整理を行った場合のメリット・デメリットにはどういうものがありますか?」をご参照下さい。
 任意整理手続のメリットは,大きく次の3つです。
① 支払不能,支払不能のおそれがあると認められないときでも利用可能なこと
 自己破産手続,個人再生(民事再生)手続においては,支払不能または支払不能のおそれがあることが要件となっていますが,任意整理手続については債権者との間の和解交渉により決めるものなので,このような要件は求められません。
② 特定の債権者に対してだけ従来どおりの支払を続けることが可能なこと  自己破産手続,個人再生(民事再生)手続においては特定の債権者に対してだけ従来どおりの支払を続けることは不可能ですが,任意整理手続においては理論的には可能です。
 ただし,その債務について従来どおりの支払を続けた場合には任意整理手続として債務の返済が不可能なような場合には任意整理手続の遂行ができなくなってしまうので,注意が必要です。
③ 住宅に住宅ローン以外の後順位抵当権者が設定されているようなときでも利用可能なこと
 このような場合,後順位抵当権者との交渉が成功しその後順抵当権者が抵当権を抹消してくれるような希有な例を除き個人再生(民事再生)手続を活用することができませんが,任意整理手続であればその後順位抵当権者との和解が成立すれば住宅を残しながら債務を返済することが可能です。

 他方,任意整理手続の最大のデメリットは,自己破産手続にように債務を返済する責任がなくなったり個人再生(民事再生)手続のように返済額を大幅に圧縮することができなかったりすることにあります。
Q4 長年支払っていない債務について,今になって督促状が届いたのですが,どうしたらよいですか?
A 消滅時効を援用するということを記載した書面(時効援用通知書)を発送すればそれで終わることが多くなっています。
 その作成が難しいようでしたら,弁護士に依頼されれば,弁護士から時効援用通知書を発送いたします。
 消費者金融会社,信販会社,銀行,信用保証協会等の有する債権は,商事債権として消滅時効期間は5年,(商法522条)信用協同組合や信用金庫の有する債権の消滅時効期間は一般に10年とされているので,最終取引日(最後に貸付を受けた日または返済をした日のうちの遅いほう)から5年または10年を経過していれば,時効援用通知書を送付するだけで債務がなくなることになります(民法145条参照)。
 なお,消滅時効についての詳細は,種村求 ブログ の「2011.11.27 長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 1 」~「2011.11.29 長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 2 」をご参照下さい。
 ただし,時効援用通知書を発送したのに対し,貸金業者等において消滅時効期間が経過していないことを証する書類を提出してきた場合には,債務が残存することになるので,そのときには改めて対応する必要があります。
Q5 亡くなった父親が貸金業者から多額の借入をしていたようで,督促状等が届いています。どのように対応したらいいでしょうか?
A お父様が亡くなってから3か月以内であれば,お父様が亡くなった住所地を管轄する家庭裁判所(川崎市内であれば横浜家庭裁判所川崎支部,東京都23区内であれば東京家庭裁判所というようになります。)に対し,相続放棄の申述受理申立てをすることにより,お父様の債務を相続せず,債務を免れることができます(民法915条1項本文)。
 また,お父様が亡くなってから3か月以上を経過した場合でも,お父様が債務を負っていたことを全く知らなかったといった事情があれば,「相続の開始を知った時」から3か月以内であるとして,相続放棄の申述受理申立てを行うことで相続放棄を認めてもらうことができることがあります。
 もっとも,お父様には他に財産があるようなときや,貸金業者からの借入について過払金が発生しているようなときもあるため,お父様の財産(債務も含めて)相続した上で債務整理を行ったほうが得策なことがあります。
 そのため,どうしたらよいかはケース・バイ・ケースといわざるを得ないので,弁護士に相談されるとよいでしょう。

第5 過払金回収手続

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Q1 なぜ過払金が発生することがあるのですか?
A 消費者金融会社(サラ金)等の貸金業者は利息制限法を超え,出資法の上限金利に近い利息を取り続けていました。
 利息制限法を超過するが出資法を超えない利息のことをグレーゾーン金利といいます。
 債務者の方は,本来支払う必要のない利息制限法を超える利息部分を支払ってきているので,この利息制限法を超える利息部分を元金に充当し元金の減額を図ることができ,これを「引直計算」といいます。
 たとえば,年29.2%の約定で貸金業者との間で100万円を借りている債務者の方が毎年29万円ずつ返済していると,そのままですと元金は増えていく一方です。
 しかし,利息制限法に基づく利息は年15%ですので,引直計算を行うと,毎年14万円ずつ元金が減っていくことになります。
 こうして,おおむね5年から7年以上,消費者金融会社(サラ金)等の貸金業者との間で借入と返済を繰り返していると,元金が0円になり,それでもさらに返済を続けることになりますので,過払金が発生しその金額がどんどん増えるということになります
 また,従来,貸金業法(旧称:貸金業の規制等に関する法律)旧43条においては,一定の要件を充たす場合には,利息制限法を超える利息を取っても有効な利息の債務の弁済とみなすという規定があったのですが,少なくとも従前貸金業者と顧客との間で取り交わされていた契約書のもとではこのみなし弁済規定が適用されることもありえなくなっています。
 そのため,過払金が発生することがあるのです。
 なお,過払金が発生する理屈の詳細については,【個人の債務整理】(9)過払金回収手続 ウ 過払金回収手続の概要 をご参照下さい。
Q2 古くから取引をしているので貸付や返済の証拠をすべて廃棄してしまっているのですが,それでも過払金を回収することができますか?
A 貸金業者との間の取引について保存している方のほうがむしろ稀ですので,そのような場合に過払金回収ができないとなると困ったことになります。
 最判平成17年7月19日民集 59巻6号1783頁は,「貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負う」とし,「貸金業者がこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは,その行為は,違法性を有し,不法行為を構成する」としています。
 また,取引履歴については貸金業者に保存義務が定められており(貸金業法19条),また保存している取引履歴については開示義務も定められております(貸金業法19条の2)。
 そのため,近時では,全取引履歴を開示する貸金業者が大半となっています。
 また,全取引履歴を開示しない貸金業者に対しても,対抗手段があります(詳しくはQ7をご参照下さい。)。
 ですから,古くから取引をしているので貸付や返済の証拠をすべて廃棄してしまっていても過払金回収は可能といえます。
Q3 貸金業者に対する債務を完済してからしばらく経つのですが,それでも過払金を回収することができますか?
A 過払金返還請求権の消滅時効期間について,最判昭和55年 1月24日民集 34巻1号61頁は,「利息制限法所定の制限をこえて支払われた利息・損害金についての不当利得返還請求権は,法律の規定によつて発生する債権であり,しかも,商事取引関係の迅速な解決のため短期消滅時効を定めた立法趣旨からみて,商行為によつて生じた債権に準ずるものと解することもできないから,その消滅時効の期間は民事上の一般債権として民法167条1項により10年と解するのが相当である。」と述べ,10年となっています。
 また,消滅時効期間についていつから起算すべき(計算すべき)かについては,最高裁平成21年 1月22日民集 63巻1号247頁が,「過払金充当合意を含む基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては,同取引により発生した過払金返還請求権の消滅時効は,過払金返還請求権の行使について上記内容と異なる合意が存在するなど特段の事情がない限り,同取引が終了した時点から進行するものと解するのが相当である。」とし,取引終了日から起算すべき(計算すべき)となっています。
 「取引終了日」が「最終取引日」を指すとしても,貸金業者に対する債務完済後から10年を経過していなければ過払金を回収することが可能ということになります。
Q4 過払金が発生した場合,利息を含めて回収できるのですか?
A 過払金回収は,法的には,不当利得返還請求に分類されます。
 不当利得返還に際しては,「悪意の受益者は,その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。」(民法704条)と定められており,貸金業者が「悪意の受益者」に該当するのであれば,貸金業者は,過払金について利息を含めて返還しなければなりません。
 そして,最判平成19年7月13日裁判集民 225号103頁により,みなし弁済が認められない場合には,「みなし弁済の適用があるとの認識を有しており,かつ,そのような認識を有するに至ったことについてやむを得ないといえる特段の事情があるとき」でないかぎり,消費者金融会社(サラ金)等の貸金業者は「悪意の受益者」に該当することが明らかになっています。
 その後に積み重ねられた裁判例でも,この最高裁が掲げた要件は厳しく判断される傾向にあり,過払金が発生した場合,利息を含めて回収できるといってよいと思います。
 なお,「悪意の受益者」についての詳細は,種村求 ブログ 「2011.12.31過払金返還請求訴訟と『悪意の受益者』1」~2012.1.10 過払金返還請求訴訟と『悪意の受益者』9」 をご参照下さい。
Q5 過払金が発生した場合,利息はいつの時点から発生するのですか?
A 消費者金融会社(サラ金)等の貸金業者が「悪意の受益者」に該当する場合には,過払金発生の時から年5%の利息を払わなければならないことが明らかとなっています(民法704条前段,最判平成21年7月17日判時 2048号9頁,最判平成21年9月4日民集 63巻7号1445頁)。
 そのため,過払金が発生した場合には,利息は「過払金発生の時」から発生します。
年5%の利息といえども,過払金発生の時から利息が発生することから,利息が発生しない場合と比べて過払い金額が大きく異なることもよくあります。
Q6 過払金回収手続においては,訴訟提起までしなければならないのですか?
A 過払金が存在する場合,従前から任意交渉での提示金額と訴訟における提示金額が全く異なる(訴訟しないと提示金額がきわめて少額となる)貸金業者は存在し,とりわけ過払金が高額になるとその差が大きいということがよくありました。
 最近になると,そのような貸金業者の割合が高まり,過払金について満額または満額に近い金額を回収しようとすると訴訟提起せざるを得ないケースが大半になりました。
 なお,訴訟提起しても和解できず判決取得に至るケースや判決取得しても支払わないので強制執行を行うというケースも増加しているほどです。
 訴訟提起した場合,回収までに時間を要することになりますが,その分,依頼者様への返還金額は多額になりますし,訴訟提起した場合でも理論的な対立が多いので依頼者様の負担が増加することもほとんどありませんので,その点は心配無用です。
Q7 顧客との間の取引履歴のうち古い時期のものは開示しない貸金業者があると聞いたのですが,このような貸金業者からも過払金を回収することができるのですか?
A 確かに,一部の貸金業者の中には,取引履歴の全部については開示しないという貸金業者が存在します。
 そのような場合,そのまま放置してしまうと,取引履歴の全部を開示した場合に比べて大幅に過払金が減少してしまうことになります。
 このような場合にとりうる方策としては,①推定計算と②(冒頭)残高無視計算とがあります。
 ①推定計算とは,全部の取引履歴が開示されない場合でも,借り手自身の記憶,部分的に手許に残っている契約書やATM(自動現金預払機)の伝票,銀行振込で貸付・返済をしていれば銀行の通帳・振込明細書などに基づいて取引履歴を再現する方法です(名古屋消費者問題研究会『Q&A過払金返還請求の手引き〔第4版〕』99頁参照)。
 この方法は,証拠書類がまったくないときにはなかなか推定計算の合理性を認めてもらえないという問題がありますが,ある程度証拠書類が残存しているときには有用です。
 ②(冒頭)残高無視計算とは,開示された取引履歴の当初貸付残高を無視し,貸付残高をゼロ円として引直計算を行う方法です(前掲『Q&A過払金返還請求の手引き〔第4版〕』102頁参照)。
 この方法は,証拠書類が手許になくとも用いることができるため大変有用です(訴訟上での攻防は大変ですが・・・。)。
 このように,顧客との間の取引履歴のうち古い時期のものは開示しない貸金業者に対する対抗手段があります。
Q8 ある貸金業者に対しては,一度債務を完済した後(第1取引),また取引を再開しているのですが(第2取引),この場合,第1取引において発生した過払金についても回収可能なのですか?
A 第1取引が終了してから現時点で10年以上経過していなければ,第1取引について発生した過払金について消滅時効が完成しておらず,回収可能です(Q3ご参照のこと)。
 第1取引が終了してから現時点で10年以上経過している場合でも,第1取引と第2取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価される場合には,第1取引と第2取引を一体のものとして計算することができ,結果的に,第1取引において発生した過払金を回収することができます(詳しくはQ9をご参照下さい。)。
 なお,第1取引が終了してから現時点で10年以上経過していない場合であっても,第1取引と第2取引とが事実上1個の連続した貸付取引と認定されると,過払金額が大幅に異なってきます。
 なぜなら,第1取引と第2取引とが完全に別個の取引だと評価されてしまうと,第2取引における貸金業者から顧客に対する貸付金額について年18%または年15%といった高い利息を支払う義務があるのに対し,第1取引と第2取引とが事実上1個の連続した貸付取引と評価されると,第1取引において発生した過払金が第2取引における貸金業者から顧客に対する貸付金に充当されることによって第2取引における貸金業者による貸付による利息が発生しないからです。
Q9 一度債務を完済した後(第1取引),また取引を再開している場合に(第2取引),全体を一連の取引として計算して多額の過払金を回収することは可能ですか?
A 以下に詳しく述べますが,結論から申し上げると,貸付の方式ごとに多少の違いがあれど,いずれの方式であっても,「事実上1個の連続した貸付取引」と評価される場合であれば,全体を一連の取引として計算して多額の過払金を回収することは可能です。
 貸金業者の中には,いわゆる大手の貸金業者のように,基本契約を締結してその基本契約に基づいて貸付と返済を繰り返す方式を採用していることが多いのですが,このような方式の場合については,以下のとおりです。
 最判平成20年 1月18日民集 62巻1号28頁は,「同一の貸主と借主との間で継続的に貸付けとその弁済が繰り返されることを予定した基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務の各弁済金のうち制限超過部分を元本に充当すると過払金が発生するに至ったが,過払金が発生することとなった弁済がされた時点においては両者の間に他の債務が存在せず,その後に,両者の間で改めて金銭消費貸借に係る基本契約が締結され,この基本契約に基づく取引に係る債務が発生した場合には,第1の基本契約に基づく取引により発生した過払金を新たな借入金債務に充当する旨の合意が存在するなど特段の事情がない限り,第1の基本契約に基づく取引に係る過払金は,第2の基本契約に基づく取引に係る債務には充当されないと解するのが相当である」としています。  それに続け,「第1の基本契約に基づく債務が完済されてもこれが終了せず,第1の基本契約に基づく取引と第2の基本契約に基づく取引とが事実上1個の連続した貸付取引であると評価することができる場合には,上記合意が存在するものと解するのが相当である。」としています。
 その考慮要素としては,以下のものが掲げられています。
  • ・第1の基本契約に基づく貸付け及び弁済が反復継続して行われた期間の長さやこれに基づく最終の弁済から第2の基本契約に基づく最初の貸付けまでの期間
  • ・第1の基本契約についての契約書の返還の有無
  • ・借入れ等に際し使用されるカードが発行されている場合にはその失効手続の有無
  • ・第1の基本契約に基づく最終の弁済から第2の基本契約が締結されるまでの間における貸主と借主との接触の状況
  • ・第2の基本契約が締結されるに至る経緯
  • ・第1と第2の各基本契約における利率等の契約条件の異同
  •  他方,大手とまではいえない貸金業者や事業者ローン会社には,基本契約を締結することなく切替え及び貸増しとしてされた多数回の貸付を行う貸金業者もあります。
     このような貸金業者による貸付の方式については,最判平成19年 7月19日民集 61巻5号2175頁が,同一の貸主と借主の間で基本契約を締結せずにされた多数回の金銭の貸付けが,一度の貸付を除き,従前の貸付の切替え及び貸増しとして長年にわたり反復継続して行われており,その一度の貸付も,前回の返済から期間的に接着し,前後の貸付と同様の方法と貸付条件で行われたものであり,上記各貸付は一個の連続した貸付取引と解すべきとした原審の判断をそのまま認めています。
    Q10途中まで他の貸金業者との間で取引を続けていたのが,別の貸金業者に引き継がれて,そのまま取引を継続しているのですが,そのような場合でも過払金を回収することができますか?
    A 途中まで他の貸金業者との間で取引を続けていたのが,別の貸金業者に引き継がれて,そのまま取引を継続しているケースとして,吸収合併のケース,営業譲渡のケース,債権譲渡のケース等いくつかあるのですが,このうち,吸収合併のケース及び営業譲渡のケースでは合併後の貸金業者や営業を譲り受けた貸金業者に対する過払金の承継が認められることが多い一方,債権譲渡のケースでは認められる場合と認められない場合に大きく別れています。
     そのため,ケース・バイ・ケースというほかありません。
     なお,この点についての詳細は,種村求 ブログ 「2011.10.1 過払金返還債務の承継 1」~「2011.10.4 過払金返還債務の承継 3」 をご参照下さい。

    第6 法人の債務整理

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    Q1 資金繰りに行き詰まりつつあるのですが,債務整理にはどのような方法がありますか?
    A 弁護士が依頼を受けた場合の法人の債務整理の方法としては,民事再生手続,会社更生手続,破産手続,特別清算手続及び私的整理(任意整理)手続の5つがあります。
     どの方法を選択するかは一概には言えませんが,資金繰りに行き詰まり筒ある状況で,金融機関が追加融資に応じてくれなかったりいわゆるリスケジュールに応じてくれなかったりする場合には,法的手続によらなければならないことが多いでしょう。
     再建型の手続である会社更生手続や民事再生手続は債務の返済額を圧縮しさえすれば事業再建の見通しが立つことが求められることから,現実には破産手続を選択せざるを得ないことが多くなっています。
     なお,この点についての詳細は,【法人の債務整理】(5)手続選択の基準 をご参照下さい。
    Q2 法人を経営していますが,事業をめぐる状況も困難で後継者も不在のため事業を閉鎖しようと思うのですが,どうすればよいのでしょう?
    A 資産を全部売却して債務の返済に充ててもなお黒字を見込むことができる場合には清算手続を選択することができますが,それ以外の場合には特別清算手続か破産手続を選択する必要があります。
    Q3 法人全体としては大赤字を計上して資金繰りにも行き詰まっているのですが,大幅な黒字を計上し今後の伸びも期待できる部門があります。どのような債務整理が可能でしょうか?
    A 法人全体が立ちゆかないとしても,その黒字で今後の伸びも期待できるという有望な部門があるのであれば,その部門に所属する従業員の雇用を守るように努力するのが経営者の務めといえるように思います。
     そのため,その有望部門とそれ以外の部門を切り離すことができないかをまずは考えるべきでしょう。
     法人全体としても返済額を圧縮しさえすれば立ち直る可能性があるのであれば民事再生手続を選択することが考えられますし,法人全体としては立ち直る見込みがなくともその有望部門のみ切り離して他の企業に営業譲渡するといった方法も考えられます。
    Q4 法人を経営していますが,事業に行き詰まり破産手続を選択するのもやむなしと考えていますが,従業員に対する未払賃金はどうなってしまうのでしょうか?
    A 破産手続を選択した場合,未払賃金や退職手当については,以下のものは最優先で支払われる財団債権に該当します。
    ① 破産手続開始前3か月間の破産者の使用人の給料債権
    ② 破産手続の終了前に退職した破産者の使用人の退職手当請求権のうち,退職前の3か月間の給料の総額に相当する額と破産手続開始前3か月分の給料の総額とを比べ,そのうちの高いほうの額に相当する額
     また,上記①,②に該当しない労働債権であっても,使用者である破産者が自然人または公益法人等で平成16年4月1日より前に発生した給料を除き,優先的破産債権となるため(破産法98条1項,民法308条),一般の債権者より優先して支払われることになります。
     そのため,経営されている法人が資産を多く有し,かつ公租公課(税金等)の滞納がほとんどないような場合には,未払賃金等が支払われます。
     もっとも,そのような法人は多くなく,放置すると従業員に対する賃金等が全く支払われないことになりかねません。  このような場合に備えて,未払賃金立替払制度というものがあります。
     企業が倒産したために賃金が支払われないまま退職した労働者に対し,未払となっている賃金の一定額(退職前6か月間の定期賃金及び退職手当のうち未払賃金総額又は限度額のいずれか低い額の8割相当分)について,政府が事業主に代わって立替払を行う制度で,独立行政法人労働者健康福祉機構がその事業を実施するものです。
     未払賃金立替払制度についての詳細は,独立行政法人労働者健康福祉機構HP 未払賃金の立替払事業 をご参照下さい。
     もっとも,未払賃金立替払制度の利用には,倒産について裁判所への破産申立等(事実上の倒産の場合は,労働基準監督署長への認定申請)が行われた日の6か月前から2年の間に退職していることが要件となっていたり,退職手当については退職手当金の支給根拠やその金額について退職金規程が整備されていないとまず立て替えてもらえなかったり,賃金台帳が完備していないような法人の場合なかなか支出してもらえなかったりするといった問題があります。

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