(株)クレディアに対する過払金返還請求権についての最高裁平成23年3月1日判決

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2011.4.4
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 (株)クレディアに対する過払金返還請求権についての最高裁平成23年3月1日判決

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 (株)クレディアは,静岡市駿河区に本社を置く貸金業者でした。
 (株)クレディアは,過払金返還債務等の支払ができなくなり,平成19年9月14日,東京地裁に再生手続開始の申立てをしました。同裁判所は,同月21日,再生手続開始の決定をし,平成20年8月20日,再生計画認可の決定をし,その認可決定は,同年9月17日,確定しています。
 (株)フロックスが平成20年10月1日,(株)クレディアとの間で,同社の事業を(株)フロックスが承継する旨の吸収分割契約を締結して,(株)クレディアが顧客との取引に関して有する一切の権利義務を承継したため,従前,(株)クレディアとの間で取引をしていた顧客の方で,現在,(株)フロックスとの間で取引を続けている方も多いかと思います。

 (株)フロックスは,(株)クレディア時代からの取引を含めた顧客との間の取引について,利息制限法所定の利率に引き直して計算しても残債務がある場合には,利息・遅延損害金を含めた一括払いを強硬に主張して一切まけない一方で,自身が顧客に対して過払金返還債務を負う場合には徹底抗戦をするため判決を取得しないとまず過払金を回収することができません。
 
 この(株)クレディアとの取引していた間に発生した過払金についての再生計画においては,届出のない再生債権である過払金返還請求権(その利息,損害金等の請求権を含む。)について,請求があれば再生債権の確定を行った上で,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定めるとともに,要旨次のとおり,権利の変更の一般的基準を定めています。
ア 確定した再生債権(本件再生手続開始決定の日以降の利息,損害金を除く。)の40%相当額を弁済し,その余につき免除を受ける。
 ただし,確定した再生債権の額が30万円以下である場合はその全額を,30万円を超える場合は40%相当額と30万円の多い方の額を弁済する。
イ 届出のない再生債権である過払金返還請求権については,その債権者により請求がされ,再生債権が確定した時(訴訟等の手続がされている場合には,その手続によって債権が確定する。),上記アのとおり権利の変更を受け,その時から3か月以内に,上記アに定める額を弁済する。

 しかし,上記再生計画においては,届出のない再生債権である過払金返還請求権について正確にはいくら請求できるのか,請求できるとして支払日はいつになるのかが今ひとつはっきりしないものとなっておりました。
 この点に関して,先日,最高裁判決が下されていますので,ご紹介します。
 判決全文については,「最高裁平成23年3月1日第三小法廷判決(平成22(受)798) 」 をご参照ください。

 上記最高裁判決は,次のように述べています。
 (1) 民事再生法178条本文は,再生計画認可の決定が確定したときは,再生計画の定め又は同法の規定によって認められた権利を除き,再生債務者は,すべての再生債権について,その責任を免れると規定する。
 そして,同法179条1項は,再生計画認可の決定が確定したときは,届出債権者等の権利は,再生計画の定めに従い,変更されると規定し,同法181条1項は,再生計画認可の決定が確定したときは,再生債権者がその責めに帰することができない事由により届出をすることができなかった再生債権(同項1号)等は,再生計画による権利の変更の一般的基準(同法156条)に従い,変更されると規定する。
(2) 前記事実関係によれば,本件再生計画は,届出のない再生債権である過払金返還請求権について,請求があれば再生債権の確定を行った上で,届出があった再生債権と同じ条件で弁済する旨を定めるが,これは,過払金返還請求権については,届出のない再生債権についても一律に民事再生法181条1項1号所定の再生債権として扱う趣旨と解され,上記過払金返還請求権は,本件再生計画認可決定が確定することにより,本件再生計画による権利の変更の一般的基準に従い変更され,その再生債権者は,訴訟等において過払金返還請求権を有していたこと及びその額が確定されることを条件に,上記のとおり変更されたところに従って,その支払を受けられるものというべきである。

 その上で,上記最高裁判決は,
 「被上告人の請求は,上告人に対し,本判決確定の日の3か月後の日である平成23年6月1日限り本件債権の元本である30万円及びこれに対するその翌日である同月2日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容すべき」と述べています。

 このことからすれば,(株)クレディアとの間の取引により過払金が発生していた顧客の方は,(株)フロックスに対し訴訟を提起し判決を取得した場合,支払を求めることのできる金額は「再生債権の額が30万円以下である場合はその全額を,30万円を超える場合は40%相当額と30万円の多い方」ということになり,支払時期は判決確定日の3か月後の日ということになります。

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