横浜弁護士会川崎支部の課題2

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2011.8.14
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横浜弁護士会川崎支部の課題2

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 平成23年7月16日(土)には,関東弁護士会連合会(関弁連)プレシンポジウム「地域司法充実をめざして」が開催されています。

 関弁連とは,東京高等裁判所管内にある,東京・第一東京・第二東京・横浜・埼玉・千葉県・茨城県・栃木県・群馬・静岡県・山梨県・長野県・新潟県各弁護士会によって構成され,日弁連及び管内弁護士会と連絡をしながら,(1)司法の改善・発達並びに人権擁護及び社会正義の実現に関する事項,(2)管内弁護士の品位及び地位の向上並びに学術の研究に関する事項などを行うために存在するものです。

 なお,関弁連管内の⑬の弁護士会における会員(弁護士)数には大きなばらつきがあり,東京の3つの単位会は非常に会員数が多い一方で(400人近くが所属する法律事務所をはじめ,大きな法律事務所がいくつもあります。),栃木県弁護士会(157名)は,私の所属する横浜弁護士会川崎支部(153名)とほぼ同数,山梨県(93名)はそれよりも少なくなっています。

 関弁連においては,地域司法の充実がなかなか進まないことから,各地で抱えている地域司法充実のため,課題を克服すべく,まずは
① 東京地方裁判所家庭裁判所立川支部の本庁化
② 千葉地方裁判所家庭裁判所形容支部の設置
③ 横浜地方裁判所家庭裁判所相模原支部における合議制の実現
を喫緊の課題として設定し,その課題を克服できたら,それらを突破口として,関弁連管内(当然,横浜地方裁判所家庭裁判所川崎支部も含みます。)における地域司法充実のための課題克服に向けて取り組んでいくという方向性を見いだしています。

 この3つの優先課題を巡る討議も興味深いものでしたが,とりわけ興味深かったのは,上記シンポジウムにおいてたびたび紹介された前山亮吉著『近代日本の行政改革と裁判所』(信山社)における,「支部ハ其地商工業ノ機関トシテ将タ保護者トシテ実ニ重大緊要ノ関係ヲ有スルハ論ヲ俟タス」(「裁判所の支部はその地の商工業の機関として,また保護者として,実に重大にして差し迫って必要な関係を有していることは論を待たない。」という意味でしょう。)という言葉でした。

 同書を購入して(マニアックな書籍なためか値段が張るのと,明治時代の文章がやたらと出てきて読み進めるのがなかなか大変なのが難点・・・)通読してみました。
 「支部ハ其地商工業ノ機関トシテ将タ保護者トシテ実ニ重大緊要ノ関係ヲ有スルハ論ヲ俟タス」という言葉は,日露戦争遂行時の行政改革の際に浮上した地方裁判所支部廃止計画に反対する運動の中で出された陳情の中の一節であることがわかりました。
 取引上の紛争の迅速な法的処理が期待できる「地元の裁判所」の存在は,当該都市にとって不可欠であることが,このような時代から認識されていたのです。

 非常に重要な司法権の独立すら完全には認められていない当時ですら,裁判所の支部,ひいては地域司法というものがこのように重大なものであるならば,価値観が多様化し地域社会内部において紛争解決を図ることが難しくなって,裁判所の果たすべき役割が増大している現代では,地域司法の充実がより重要なことは言うまでもないでしょう。

 私も,横浜弁護士会川崎支部会員の一員として,また横浜弁護士会川崎支部執行部の一員としても,川崎地域の司法充実については積極的にかかわっていかなければならないという意識を持っております。
 地域司法の充実は困難な課題ではありますが,少しでも前進していければと思います。

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