債務整理事件処理の規律を定める規程

spacer_line
2011.8.17
spacer_line

債務整理事件処理の規律を定める規程

spacer_line

 日本弁護士連合会(日弁連)では,平成23年2月9日の臨時総会において,債務整理事件に関し,債務者との直接面談などの一定の行為規制,弁護士報酬の上限規制,広告規制等を内容とする「債務整理事件処理の規律を定める規程」を可決承認し,同規程は同年4月1日から施行されています。
 詳しくは,日弁連HP 「『債務整理事件処理の規律を定める規程』の概要」 のとおりです。

 債務整理事件については,一部の法律事務所がTY広告等で大々的に宣伝しておりますが,こうした事務所においては,不適切な事件受任の勧誘や受任の仕方など事件処理や不相当に過大な報酬請求などが問題となり,マスコミ等でも取り上げられて社会問題化したというのが,上記規程制定の背景にあります。

 私自身,そのような法律事務所に依頼されていた方が,依頼した弁護士等に不信感を抱き,セカンドオピニオン的な形でお話しさせていただいたこと等もよくあります。

 まず,普通の弁護士からすると,依頼者から事件を受任するのに依頼者と直接面談しないなどというのは信じがたい話なのですが,一部の法律事務所ではむしろそれが当たり前になっていたようで,上記規程第3条・第4条等で規制の対象となっています。

 また,報酬請求については,
① 任意整理事件の着手金を「適正かつ妥当な金額」にしなければならないという規制(第10条)
② 解決報酬金の上限を債権者1人あたり5万円(消費税を除く。)という規制(第13条)
③ 減額させることに成功した場合の減額報酬金の上限を債権者1人あたり10パーセント以下とするという規制(第14条)
④ 過払金を回収した場合の報酬金(過払金報酬金)の上限を回収した過払金の25パーセント(消費税を除く。)とするという規制(第15条)
等がかけられるようになりました。

 当事務所の報酬基準について,上記用語例に従ってあてはめると,
① 着手金に相当するものはない
② 解決報酬金に相当するものは債権者1人あたり4万円(消費税を除く。)
③ 減額報酬金にあたるものはない
④ 過払金報酬金は回収した過払金の20パーセント(消費税を除く。)
となっております。
 そのため,上記規程の上限どおりに弁護士が報酬請求するのだとすると,相当に過大な弁護士報酬になると思いますし,これで上限が設定されるのだとするとそれを上回る著しく過大な請求が行われているということになるわけで,にわかに信じがたい話だと思っています。

 実際,川崎支部内の集まりによく参加するような普通の弁護士であれば,上記規程が制定される前から,上記規程に触れるような過大な弁護士報酬を請求していたということはないと思います(あくまで私が把握している限りで申し上げている点はご容赦ください。)。

 ところが,相談者からセカンドオピニオン的に話を聞かせていただいた際には,弁護士からこのような上限を遙かに超える報酬請求をされたという例を何度も聞いておりますし,その相談者たちが事実と異なることを話しているようには思えなかったというのも事実です。
 ですから,著しく過大な報酬請求をしている弁護士が存在したのは確かなことなのでしょうし,それ故にこの「債務整理事件処理の規律を定める規程」を制定して規制がなされなければならなかったのでしょうが,そのような弁護士の行為は,多重債務で苦しんできた方をさらに食い物にするようなものというほかなく,そのような弁護士と同業者である一弁護士として,私としても恥ずかしい気持ちになります。
 
 「弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする。」(弁護士法第1条第1項)と定められ,また「弁護士は,前項の使命に基き,誠実にその職務を行い,社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」(同条第2項)ことになっています。
 これを踏まえ,道を踏みはずさないようにしなければと思います。
 
 

 

ページの先頭へ戻る