裁判所の行う裁判に対する不服申立期間について 2

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2011.9.11
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裁判所の行う裁判に対する不服申立期間について 2

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 「決定」や「命令」に対する不服申立期間が「裁判の告知を受けた日」から数日間等と短く設定されているため大変であることは,「裁判所の行う裁判に対する不服申立期間について 1」で記載したとおりですが,この「裁判の告知を受けた日」は,誰に対して告知されたときをいうのかについて,最高裁判所が判断しているので,紹介します。

決定の全文は,「証拠開示に関する裁定請求棄却決定に対する即時抗告棄却決定に対する特別抗告事件についての平成23年08月31日最高裁判所第三小法廷決定」をご覧ください。

 事案は次のとおり。
 本件証拠開示に関する裁定請求は,弁護人において,刑訴法316条の26第1項に基づき,裁判所に対し,検察官が弁護人に証拠開示することを命じる旨求めました。
 この証拠開示命令請求を棄却した原々決定の謄本が,被告人本人には平成23年6月25日に,主任弁護人には同月27日にそれぞれ送達されました。
 その決定に対して弁護人から同月30日に即時抗告の申立てがされました。
 これに対して,原決定は,本件即時抗告の提起期間は被告人本人に原々決定謄本が送達された日から進行すると解し,同申立ては提起期間経過後のものであって不適法であるとして,これを棄却しました。

 この事案について,最高裁判所は,次のように述べています。
本件証拠開示に関する裁定請求においては,請求の主体は弁護人であり,裁定請求が認められた場合に証拠開示を受ける相手として予定されているのも弁護人であったものであって,このような請求の形式に加え,公判前整理手続における証拠開示制度の趣旨,内容にも照らすと,弁護人において上記の証拠開示命令請求棄却決定を受けたものと解されるから,同決定に対する即時抗告の提起期間は,弁護人に同決定謄本が送達された日から進行するものと解するのが相当である。

 刑事訴訟の場合,被告人は勾留されていることが多く,「決定書」や「命令書」を被告人が受け取ったからといって,弁護人に対して直ちにその連絡が入るものでもありません。
 ですから,弁護人は自身が「決定書」や「命令書」を受け取らない限り,「決定書」や「命令書」を把握することができないことが多く,被告人が弁護人よりも先に「決定書」や「命令書」を受け取っているからといって,「裁判の告知を受けた日」となるというのはあんまりだといえるでしょう。
 そのため,この最高裁判所の判断は至極当然と言えると思います。

 もっとも,民事事件・家事事件においては,そもそも当事者の代理人である弁護士のところにしか「決定書」や「命令書」が届きませんので,このような問題はそもそも起こりえません。
 そのため,上記決定は刑事事件にしか影響を与えないわけですが,ただでさえ不服申立期間が厳しく制限されているのにそれに輪をかけて制限が厳しくなる運用がなされるおそれがなくなった点は,良かったと思います。 

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