預金債権差押えの特定について 1

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2011.10.23
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預金債権差押えの特定について 1

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 債権を有している場合であっても,その回収可能性がないときには,判決を得ても無意味となることがあります。
 たとえば,AさんがBさんに対して200万円を貸し付けているもののその返済がなされないというような場合で,200万円を貸し付けたことを裏付ける借用証等があって,訴訟提起をすれば判決を取得することが可能であっても,どうみてもBさんから回収することはできないような場合には,Bさんから回収してほしいという依頼をお断りせざるを得ないことになります。
 いくらBさんに対して「200万円を支払え。」という判決を取得したところで,Bさんから回収できる可能性がないのであれば,Aさんにとって判決を取得することに何らのメリットがないからです。

 この場合のように,①Bさんに財産がないこと(このような場合を「無資力」といいます。)であることが明らかな場合に回収可能性なしと判断せざるを得ないというのはまだ仕方ない面があります。
 しかし,②Bさんに財産があるかないか分からないけれどもどこに財産があるか分からない場合や,③Bさんには財産がありそうではあるけれどもどこに財産があるか分からない場合についても,回収可能性なしと判断せざるを得ないときがあります。

 AさんがBさんに対して貸し付けたお金をBさんが支払ってくれない場合,最終的には,Bさんを相手取って訴訟提起(一般の方が「裁判」という言葉を使う場合,この「訴訟」のことを指す場合が多いようです。)をし,裁判上でこのBさんとの間で和解するか,Bさんに対して200万を支払うよう命ずる判決を取得することが必要になります。
 しかし,和解しても判決を取得しても,Bさんがその和解金や判決で命じられた金額を支払ってこないということがあります。
 このような場合には,強制執行を行うほかありません。
 しかし,強制執行を行うには,Bさんがどこに財産をもっているかを把握していないといけません。

 Bさんが土地建物といった不動産を所有しているような場合にはその不動産を差し押さえ,預金債権を持っているような場合にはその預金債権を差し押さえるという具合です。
 しかし,預金債権の差押えについては,Bさんがたとえば三菱東京UFJ銀行に預金口座を持っているというだけでは差押えができず,三菱東京UFJ銀行のどの支店に預金口座を持っているかまで分からないと,差押えができない扱いとなっています。
 ところが,近時,三菱東京UFJ銀行のような大銀行であっても,どの支店に預金口座を持っているか,ただちにオンラインで分かるはずという声が大きくなり,どの支店かまで特定せずとも差押えが許されるべきという判断が高等裁判所レベルで出始めていました。
 もしこのような差押えが許されるのであれば,債権回収の可能性を広げることになります。
 このような中で,このような債権差押えの有効性について最高裁の判断が出ましたが(「「債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定に関する平成23年9月20日最高裁判所第三小法廷決定」),結論的には,不適法とされてしまいましたので,債権回収の可能性を広げることはできなくなっております。

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