預金債権の差押えの特定について 2

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2011.10.25
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預金債権の差押えの特定について 2

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 債権回収の分野における債権差押えの意義等については,「預金債権差押えの特定について 1」に記載したとおりですが,その最後に紹介したとおり,平成23年9月20日最高裁判所第三小法廷決定がなされています。

 上記最高裁決定の全文は,「債権差押命令の申立てにおける差押債権の特定に関する平成23年9月20日最高裁判所第三小法廷決定」をご覧ください。

 事案は,債権者Aさんが債務者Bさんに対して判決を取得した後,Bさんが持っているであろう預金口座先の複数の銀行(債務者Bさんに対して預金債務を支払わなければならない地位にあることから,差押命令申立てにおいては,このような銀行等を「第三債務者」といいます。)を第三債務者として,預金債権・貯金債権(三菱東京UFJ銀行,三井住友銀行等の銀行の場合には預金債権,ゆうちょ銀行だけは貯金債権という用語が使われます。)の差押えをしようというものです。
 そして,その差押えにおいて,Bさんが銀行のどの支店に対して預金口座を持っているか分からないので,支店名までは特定せず,債権差押命令申立書において,差し押さえるべき債権(差押債権」)を表示するに当たり,各第三債務者の全ての店舗又は貯金事務センターを対象として順位付けをした上,同一の店舗の預貯金債権については,先行の差押え又は仮差押えの有無,預貯金の種類等による順位付けをしたというものです。
 これに対し,第1審で,差押債権の特定がないため不適法だとして却下されたので,Aさんはそれを不服として,執行抗告という不服申立てを行ったところ,第2審も,これを不適法だとして却下すべきとしたので,Aさんは,さらに争い,許可抗告という不服申立てを行い,最高裁で判断されることになりました。

 この事案について,上記最高裁決定は次のとおり判示しています。
「(1) 民事執行規則133条2項は,債権差押命令の申立書に強制執行の目的とする財産を表示するときは,差押債権の種類及び額その他の債権を特定するに足りる事項を明らかにしなければならないと規定している。
 そして,債権差押命令は,債務者に対し差押債権の取立てその他の処分を禁止するとともに,第三債務者に対し差押債権の債務者への弁済を禁止することを内容とし(民事執行法145条1項),その効力は差押命令が第三債務者に送達された時点で直ちに生じ(同条4項),差押えの競合の有無についてもその時点が基準となる(同法156条2項参照)。
 これらの民事執行法の定めに鑑みると,民事執行規則133条2項の求める差押債権の特定とは,債権差押命令の送達を受けた第三債務者において,直ちにとはいえないまでも,差押えの効力が上記送達の時点で生ずることにそぐわない事態とならない程度に速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものでなければならないと解するのが相当であり,この要請を満たさない債権差押命令の申立ては,差押債権の特定を欠き不適法というべきである。
 債権差押命令の送達を受けた第三債務者において一定の時間と手順を経ることによって差し押さえられた債権を識別することが物理的に可能であるとしても,その識別を上記の程度に速やかに確実に行い得ないような方式により差押債権を表示した債権差押命令が発せられると,差押命令の第三債務者に対する送達後その識別作業が完了するまでの間,差押えの効力が生じた債権の範囲を的確に把握することができないこととなり,第三債務者はもとより,競合する差押債権者等の利害関係人の地位が不安定なものとなりかねないから,そのような方式による差押債権の表示を許容することはできない。

 (2) 本件申立ては,大規模な金融機関である第三債務者らの全ての店舗を対象として順位付けをし,先順位の店舗の預貯金債権の額が差押債権額に満たないときは,順次予備的に後順位の店舗の預貯金債権を差押債権とする旨の差押えを求めるものであり,各第三債務者において,先順位の店舗の預貯金債権の全てについて,その存否及び先行の差押え又は仮差押えの有無,定期預金,普通預金等の種別,差押命令送達時点での残高等を調査して,差押えの効力が生ずる預貯金債権の総額を把握する作業が完了しない限り,後順位の店舗の預貯金債権に差押えの効力が生ずるか否かが判明しないのであるから,本件申立てにおける差押債権の表示は,送達を受けた第三債務者において上記の程度に速やかに確実に差し押えられた債権を識別することができるものであるということはできない。
 そうすると,本件申立ては,差押債権の特定を欠き不適法というべきである。


 要は,債権差押命令の送達を受けた第三債務者(銀行等)が「速やかに,かつ,確実に,差し押さえられた債権を識別することができるものでなければならない」から,このような差押命令申立ては許さない,ということです。
 平たく言うと,銀行等が困っちゃう可能性があるから許さないというわけで,それ以上にはほとんど理由らしい理由が述べられておらず,オンラインですぐ分かるのではなかろうか,という疑問が払拭できません。

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