長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 1

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2011.11.27
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長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 1

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 貸金業者等からずっと昔に借入をしていたが完済しないうちに督促状等も届かなくなったことからそのままずっと放置していたところ,最近になって,当該貸金業者等から債権を譲り受けたと称する債権回収会社(サービサー)等から督促状等が届くというケースがあります。
 従前からこのようなケースは散見されたのですが,このような場合に私が相談を受けたり受任したりすることが最近多いので,このようなケースが近時増加しているような印象を受けています。
 そのため,このようなケースの場合にどのように対処すべきかについて説明いたします。

 実は,このようなケースの場合にどのように対処すべきかを考えるにあたっては,消滅時効制度を理解しておく必要があります。
 消滅時効制度を理解するには,消滅時効期間消滅時効の起算点時効の中断時効の援用・放棄といったものの理解が欠かせません。

 まず,消滅時効期間について,説明します。
(1) 一般私人間取引の場合の通常の債権の場合
 一般私人間取引の場合の通常の債権の消滅時効期間は10年間となっています(民法167条1項)。

(2) 貸金業者等からの借入の場合
 督促状等が届くことの多い貸金業者等からの借入の場合には,一般私人間取引の場合の通常の債権の場合と異なり,商事債権(商法第522条)として,消滅時効期間は5年となります。
 これは,プロミス㈱,アコム㈱といった貸金業者等の場合,会社法上の会社(株式会社,合名会社,合資会社,合同会社)として,その事業としてする行為及びその事業のためにする行為が商行為となることから(会社法第5条),「自己の名をもって商行為をすることを業とする者」(商法4条1項)として「商人」と扱われることによります。

 そして,貸金業者等から借入をした場合,その債権が債権回収会社等に譲渡されたとしても,その貸金の性質が変わることはありませんから,消滅時効期間は5年のままです。

(3) 信用金庫,信用協同組合からの借入の場合 
 ところが,信用金庫,信用協同組合から借入をした場合(信用金庫,信用協同組合から借り入れた後,その債権が債権回収会社等に譲渡された場合を含みます。以下同じ。)には,貸金業者等からの借入の場合と異なり,一般に,消滅時効期間は10年と理解されています。
 その参考となるのが,最判昭和63年10月18日(民集42巻8号575頁)です。
 この判決では,「信用金庫法に基づいて設立された信用金庫は,国民大衆のために金融の円滑を図り,その貯蓄の増強に資するために設けられた協同組織による金融機関であり,その行うことのできる業務の範囲は次第に拡大されてきているものの,それにより右の性格に変更を来しているとはいえず,信用金庫の行う業務は営利を目的とするものではないというべきであるから,信用金庫は商法上の商人には当たらないと解するのが相当である(最高裁昭和46年(オ)第781号同48年10月5日第二小法廷判決・裁判集民事110号165頁参照)。そして,信用金庫の行うことのできる業務の性質が右のとおりである以上,特定の取引行為についてだけ信用金庫が商人に当たると解することもできないというべきである。」と判示されています。
 なお,上記判決中に引用されている最高裁昭和46年(オ)第781号同48年10月5日第二小法廷判決(裁判集民事110号165頁)では,次のように判示されています。
「中小企業等協同組合法に基づいて設立された信用協同組合は,商法上の商人にあたらないと解すべきである。しかし,信用協同組合につき中小企業等協同組合法が商法中の特定の条文を準用する旨を定めている場合のほかは同法の適用が排除されると解すべきではなく,信用協同組合が商人たる組合員に貸付をするときは,同法503条,3条1項により,同法522条が適用されるものと解するのを相当とする。」
 
 つまり,信用金庫,信用協同組合から借入をした場合,借入をした側が商人であるような場合や事業資金のための借入であったようなときを除き,消滅時効期間は10年となるのです。

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