長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 3

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2011.11.30
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長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 3

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 消滅時効期間については「長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 1」に,消滅時効の起算点及び時効の中断については「長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 2」に,それぞれ記載のとおりです。

 「長期間支払っていない債務について督促状等が届いたら 2」に記載したとおり,判決等を取得されていなければ,債務の承認と認められるような行為をした日(一般的には最後の返済日)から一定期間(貸金業者等からの借入の場合であれば5年,信用金庫・信用協同組合からの一般的な借入の場合であれば10年)を経過していれば,消滅時効にかかったといえるわけですが,気をつけなければならないことがあります。

 時効は当事者が援用しなければいけないということです(民法145条)。
 具体的には,債務者又は債務者から依頼を受けた弁護士等が,債権者に対し,「時効援用通知書」等を発送するなどして,時効の利益を受ける意思を表示しなければならないのです。
 そのため,債権者から督促状等が届いた場合には,必ず,「時効援用通知書」等を発送するか,弁護士等に依頼して「時効援用通知書」等を発送してもらいましょう(なお,理論的には「口頭」で時効を援用する旨伝えても良いのですが,それだと証拠が残らないので,証拠が残るよう書面にて通知しておくべきです。

 この援用以上に気をつけなければならないのは,時効を主張することができなくなる事態を避けることです。
 時効の利益は時効期間経過前には放棄することができませんが(民法146条),時効期間経過後は放棄することができます。
 時効を援用して支払を拒絶することができるのを分かっていて時効の利益を放棄する方はまずいないと思いますが,怖いのは,時効を援用できるかどうかの知識がない方が,時効期間経過後に時効の存在に気がつかずに債務の存在を前提とする行為(一部弁済等)をした場合でも,債権者のほうでは,債務者はもはや時効を援用しないとの期待を抱くから,信義則上,その債務について時効を援用することは許されないとされている点です(最判昭和41年4月20日/民集20巻4号702頁)。

 そのため,長期間支払っていない債務について督促状等が届き,債権者に対して債務を一部でも支払ったときには,時効を援用することができなくなってしまうのです。

 督促状等に乗っている債権者の連絡先に電話して債務の弁済を約束させられるような場合でも時効の援用ができなくなるおそれがありますので,このような督促状が届いたら,ただちに債権者に対して「時効援用通知書」を発送するか,債権者に連絡することなく弁護士等に相談して「時効援用通知書」を発送してもらうのがよいでしょう。

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