過払金返還請求訴訟における一部弁済の充当 2

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2012.4.15
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過払金返還請求訴訟における一部弁済の充当 2

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 一部弁済がなされた場合,過払金元金に充当されるか利息に充当されるかでどのような差異が生じることになるのかについては, 過払金返還請求訴訟における一部弁済の充当 2 に記載したとおりです。

 とはいえ,これまでは,貸金業者において
「和解できないのは理解したが,訴訟における主張額の一部だけでも弁済させてくれ。
 そして,その弁済額を過払金元金に充当させてくれ。」
などと言ってくる場合であっても,
「当事務所では弁済額を優先的に充当することしか認めない。」
と伝えると,一部弁済の意味が薄れる貸金業者からは,それなら一部弁済をしないということになり,あまり問題にはなりませんでした。

 しかし,つい最近になって,当事務所の方針を伝えても,なお,一部弁済をしようとする貸金業者が現れ,しかもその貸金業者は,「元金に充当する旨主張する。」などと言ってくるようになり,問題として取り上げる必要が生じてきました。

 弁済の充当方法の原則論
 民法491条1項においては,「債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,これを順次に費用,利息及び元本に充当しなければならない。」と定められています。

 また,同条2項は法定充当の規定は準用しているものの弁済の充当の指定の規定は準用していないので,当事者間の合意がない限り,同条に規定する順序に従って充当されることになります。
 すなわち,弁済者や弁済を受領する者が一方的にその順序を変更することはできません。

 ですから,上記貸金業者の主張は,法的には全く通らない主張ということになります。
 弁済充当の例外
 しかし,弁済者が支払う際に元本に充当する旨の意思表示をしたときや,元本部分のみ返済するといった,そのような意思表示をしたと解されるようなときには,弁済を受領する者が受領した後,遅滞なく異議を述べなかったときには,元本に充当するという目次の合意が成立していたと裁判所に認定されてしまう可能性があります(大判昭和3年3月30日法律新聞2854号15頁,大判昭和16年10月29日法律新聞4743号18頁参照)。

 対策
 そのため,依頼者の利益を最大化するために努力する義務のある弁護士としては,元本に充当するという意思表示に対して,あらかじめ,または,一部弁済受領後速やかに,元本に充当するということを拒絶する(利息に充当することを主張する)文書を送付する必要があるということになるでしょう。

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