8月4日(土) 第6回高校生模擬裁判選手権開催 2

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2012.8.1
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8月4日(土) 第6回高校生模擬裁判選手権開催 2

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 8月4日(土)に開催される「第6回【高校生模擬裁判選手権】」の概要については, 8月4日(土) 第6回高校生模擬裁判選手権開催 1 に記載しました。

 
 このブログでは,本年度の内容を少しだけ掘り下げてみたいと思います。
 
 本年度の題材は,傷害罪。
 事案の概要は以下のようなものになっています。
 「被告人(若い女性)がある男性と交際しているものの,その男性からのDV等に悩んで,被告人の同郷の被害男性に悩みを打ち明けるなどしていたところ,その被害男性から「そんな男と別れておれと付き合え。」などと言われるようになっていた。
 被告人はDV男性との交際を継続していると,その男性に監禁されたりしていないか心配になった被告人がそのDV男性宅まで被告人を探しに行く。
 それを迷惑に感じた被告人が外で被害男性と話をし,被害男性をストーカー呼ばわりして口論になる。
 そして,被告人は被害男性を突き飛ばし,大けがを負わせた。」

 ところが,被告人は,「被害男性を突き飛ばす前に被害男性から手を首にかけられて首を絞められそうになったので,とっさに突き飛ばした」と正当防衛を主張しています。
 はたして,そのような「被害男性から手を首にかけられて首を絞められそうになった」という状況が認められるのか,というのが大きな争点になるというものです。

 第1回から第5回までの高校生模擬裁判選手権においては,被告人役は弁護人チームから,証人役は検察官チームから,それぞれ出すことになっていたことから,弁護人役は被告人質問に関して,検察官役は証人尋問に関して,それぞれ綿密な打合せをして「何をどのように話してもらうか」をすり合わせた上で被告人質問や証人尋問に臨むことができました。
 この方式は,私たち法曹関係者が実際に裁判を行うときにも行っているものです(なお,このような事前打ち合わせは「証人テスト」と呼ばれています。)。

 ところが,関東大会では湘南白百合学園高等学校が,関西大会では京都教育大学附属高等学校が,それぞれ5連覇を達成していることにより大会の開催システム変更の必要が言われるようになったからでしょうか,第6回を迎える本年度は,被告人役も証人役も弁護士が担当し,かつそれに伴って,弁護人役も検察官役も証人テストを行うことができない,というシステムに変更されています。
 すなわち,高校生が,私たち法曹関係者が実際に行う以上に高度な対応を求められるという,大変おそろしい話になっているわけです。

 ところが,昨日,私が湘南白百合学園高等学校の準備状況を見学したところでは,同校の生徒さんたちは,このようなシステム変更にも十分対応できつつあるように思いました。
 こういうのを目の当たりにしてしまうと,我が身を振り返り,法律専門家としての自信をやや喪失してしまいます(苦笑

 正当防衛をめぐる法律論はかなり難しく,この見学に先立ち,私は『条解 刑法』(弘文堂)や『刑事事実認定-裁判例の総合的研究-(上)』(判例タイムズ社)を読み返して記憶を喚起しておりました。
 また,刑事裁判手続についても『条解 刑事訴訟法』(弘文堂)や『刑事訴訟規則逐条説明-第2編第3章-公判』(法曹会),『刑事尋問技術』(ぎょうせい)を読み返してもいました。
 湘南白百合学園高等学校の生徒さんたちはこれら刑法や刑事訴訟法に関する知識もしっかりしていて,事前にこれらの書物を読み返していなければ大恥をかくところだったかもしれません。

 個人的には,否が応でも第6回高校生模擬裁判選手権の本番を期待してしまいますし,もし同校の生徒さんたちが法曹界を目指してもらえるなら法曹界の未来は明るいようにも思います。

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