8月4日(土)第6回高校生模擬裁判選手権開催 5

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2012.8.7
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8月4日(土)第6回高校生模擬裁判選手権開催 5

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 湘南白百合学園高等学校が優れているポイントについては,第6回高校生模擬裁判選手権開催 4にまとめてみましたが,以下,これらのポイントについて掘り下げてみたいと思います。

湘南白百合学園高等学校の優れているポイントその(1)
冒頭陳述→尋問→論告・弁論と全体を通して論理が一貫していて説得力に富むこと

 検察官役は,
 冒頭陳述により,検察官が証拠によって証明しようとする事実を説明し,
 検察官側の証人尋問で検察官側の主張(本題材では正当防衛の成立要件の1つである「急迫不正の侵害」があるといえるような,被害者が被告人の首を絞めようとしたという状況がなかったという事実)を引き出し,
 被告人質問で弁護側の主張である被害者が被告人の首を絞めようとしたという状況であったという被告人の供述に信用性がないことを引き出し,
 論告により,争いのない証拠や証人尋問・被告人質問事項で引き出した事項を踏まえて被告人に正当防衛が成立しないことを論じる
必要があります。

 他方,弁護人役は,
 冒頭陳述により,弁護人が証拠によって証明しようとする事実を説明し,
 検察官側の証人尋問で検察官側の主張(本題材では正当防衛の成立要件の1つである「急迫不正の侵害」があるといえるような,被害者が被告人の首を絞めようとしたという状況がなかったという事実)を弾劾して,被害者が被告人の首を絞めようとしたという状況があったことを引き出し,
 被告人質問で弁護側の主張である被害者が被告人の首を絞めようとしたという状況であったという被告人の供述を引き出して同供述が信用できることを引き出し,
 弁論により,争いのない証拠や証人尋問・被告人質問事項で引き出した事項を踏まえて被告人に正当防衛が成立することを論じる
必要があります。

 検察官は判決で有罪(正当防衛が成立しない)と判断してもらえるように,弁護人は判決で無罪(正当防衛が成立する)と判断してもらえるように,主張・立証を尽くすわけですが,最終的に伝えるべきことは,検察官は論告,弁護人は弁論ということになるわけです。
 そして,論告にせよ弁論にせよ,証拠に基づいて主張する必要があるので(そうでないと,証拠裁判主義(刑事訴訟法第317条)に反してしまいます。),証人尋問や被告人質問で引き出した自信に有利な事項を用い,また不利な事項を弾劾しつつ行う必要があります。
 そのため,逆に言うと,証人尋問や被告人質問は論告・弁論で何を訴えたいかを見据えて,論告・弁論で訴えたいことを引き出すために行う必要があるわけです。
 
 また,冒頭陳述も,検察官と弁護人が,これから証明しようとする事実を説明するものですから,当然に,証人尋問や被告人質問,さらには論告・弁論を見据えて行わなければならないものです。
 
 このように,冒頭陳述→尋問→論告・弁論というものは,相互にばらばらになっていてよいものではありません。
 そのため,よい主張・立証というのは,検察官・弁護人のいずれを問わず,冒頭陳述→尋問→論告・弁論と全体を通して論理が一貫していて説得力に富むことが求められることになるのです。

 そして,湘南白百合学園高等学校の生徒さんたちは,この冒頭陳述→尋問→論告・弁論と全体を通して論理が一貫していて説得力に富んでいたということになります。
 それは,なによりも,本件の題材をよく読み込み,何がポイントなのかをつかみ,そのポイントに沿って最初から最後まで論理立てて説明できていることになるのです。

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