解雇無効と年次有給休暇権との関係

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2013.8.27
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解雇無効と年次有給休暇権との関係

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 労働者が解雇されて就労が拒まれたとしても,解雇が無効であると主張して労働契約上の権利を有することの確認等を求める訴えを提起してその勝訴判決を得て復職した場合,その会社の従業員でいられるだけでなく,その就労が拒まれた期間の賃金を請求できることとなります。
 労働基準法上,解雇が有効とされるケースはきわめて稀であり,企業側からすると,訴訟にまでなって敗訴してしまうと大変なリスクを負うこととなるわけです。

 それに加え,そのようにして労働者が復職した後に,労働日について年次有給休暇の時季に係る請求(以下単に「請求」ともいう。)をして就労しなかったところ,労働基準法39条2項所定の年次有給休暇権の成立要件を満たさないとしてその就労しなかった分の賃金を支払う必要がないといえるのかという問題が残っていました。
 このようなケースで,就労を拒まれた期間について,同法39条1項及び2項は,雇入れの日から6か月の継続勤務期間又はその後の各1年ごとの継続勤務期間(以下,これらの継続勤務期間を「年度」という。)において全労働日の8割以上出勤した労働者に対して翌年度に所定日数の有給休暇を与えなければならない旨を定めており,本件では,被上告人が請求の前年度においてこの年次有給休暇権の成立要件を満たしているか否かが争われた事案について,今般,最高裁判決が下されています。

 平成25年6月6日最高裁判所第一小法廷判決(裁判所ウェブサイト)では,

「法39条1項及び2項における前年度の全労働日に係る出勤率が8割以上であることという年次有給休暇権の成立要件は,法の制定時の状況等を踏まえ,労働者の責めに帰すべき事由による欠勤率が特に高い者をその対象から除外する趣旨で定められたものと解される。このような同条1項及び2項の規定の趣旨に照らすと,前年度の総暦日の中で,就業規則や労働協約等に定められた休日以外の不就労日のうち,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえないものは,不可抗力や使用者側に起因する経営,管理上の障害による休業日等のように当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものは別として,上記出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものと解するのが相当である。
無効な解雇の場合のように労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日は,労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日であり,このような日は使用者の責めに帰すべき事由による不就労日であっても当事者間の衡平等の観点から出勤日数に算入するのが相当でなく全労働日から除かれるべきものとはいえないから,法39条1項及び2項における出勤率の算定に当たっては,出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものというべきである。」
と判示しました。

 判決の全文については, 平成25年6月6日最高裁判所第一小法廷判決 をご覧下さい。

 当然の結論だろうと思われますが,賃金請求権が発生するだけでなく,年次有給休暇権との関係でも解雇したことによる不就労期間はずっと就労していたとみなされるということとなるので,労働者を解雇してその解雇が無効と判断された場合のリスクがまたひとつ顕在化したということになります。

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