7 借地非訟事件

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7 借地非訟事件

(1) 借地非訟事件とは

 借地非訟事件とは,借地権の法律関係に関する事項について,土地所有者(賃貸人,貸主,地主)に代わって,裁判所が通常の訴訟手続によらず,簡易な手続で,借地権者(賃借人,借主,借地人)に対し地代や承諾を決定するものをいいます。


 借地非訟事件には,以下の(ア)~(オ)の5種類があります。

このうち,以下の(オ)の借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受申立事件については,以下の(ウ)または(エ)の事件が係属しているときにのみ,土地所有者(賃貸人,貸主,地主)が申し立てることができます。

(ア) 借地条件変更申立事件(借地借家法第17条第1項)

(イ) 増改築許可申立事件(借地借家法第17条第第2項)

(ウ) 土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立事件(借地借家法第19条第1項)

(エ) 競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件(借地借家法第20条第1項)

(オ) 借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受申立事件(借地借家法第19条第3項,第20条2項)


(2) 借地条件変更申立事件(借地借家法第17条第1項)

 借地契約には,借地上に建築できる建物の種類(居宅・店舗・共同住宅など)・建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など)・建物の規模(床面積・階数・高さなど)・建物の用途(自己使用・賃貸用・事業用など)等を制限している例が多く見られます

よくあるのは「借地上の建物は,非堅固建物に限る」といったもので,このような制限を借地条件といいます。


 借地権者(賃借人,借主,借地人)が,これらの借地条件を変更して,別の構造等の建物に新しく建て替えたい場合,たとえば,「木造建物」(非堅固建物)を「ビル」などの鉄筋コンクリート造の建物(堅固建物)に建て替えたい場合には,土地所有者との間で借地条件を変更する旨の合意をすることが必要になりますが,土地所有者との間で合意をすることができないことがあります。


 このようなとき,借地権者(賃借人,借主,借地人)は,借地条件変更の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,借地契約の借地条件を変更する裁判を受けることができます。


  なお,借地契約において,地上の建物の建替え(改築)・増築・大修繕等をするには土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾が必要である旨の定めがある場合に,適法に借地条件の変更を必要とする増改築をしようとするときは,借地条件変更の申立てとともに,後記(3)記載の増改築許可の申立てをする必要があります(以上,裁判所HP)。


 非堅固建物から堅固建物への条件変更の場合の承諾料は,非堅固建物所有の場合の借地権価格と堅固建物所有の場合の借地権価格の差額が1つの基準となり,一般的には,土地の更地価格の10%程度とされています。


(3) 増改築許可申立事件(借地借家法第17条第第2項)

 借地契約には,借地上の建物の建替え(改築)・増築・大修繕等をする場合には土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾が必要であると定めている例が多く見られます。このような場合,借地権者(賃借人,借主,借地人)は,土地所有者の承諾を得る必要がありますが,土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾を得られないことがあります。


 このようなとき,借地権者(賃借人,借主,借地人)は,増改築許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます(以上,裁判所HP)。


 増改築承諾料は,増改築の規模・程度・借地契約の残存期間などにより異なることがありますが,一般的には,全面改築の場合で土地の更地価格の3%程度とされています。


(4) 土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立事件 (借地借家法第19条第1項)

 借地契約が土地の賃貸借契約の場合,借地権者(賃借人,借主,借地人)が借地上の建物を譲渡するときは,(これに伴って土地の賃借権も移転することになるため)土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾を得る必要がありますが(民法第612条),土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾を得られないことがあります。


 このようなとき,借地権者(賃借人,借主,借地人)は,土地の賃借権譲渡許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者(賃貸人,貸主,地主)の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます(以上,裁判所HP)。


 もっとも,土地の賃借権譲渡または転貸の許可申立事件係属中に,後記(6)記載の介入権行使がなされた場合,原則として,土地所有者(賃貸人,貸主,が借地権者(賃借人,借主,借地人)の建物及び土地の賃借権を裁判所が定めた価格で買い受けることになることとなることに注意を要します。


 賃借権譲渡または転貸承諾料は,一般に,借地権価格の10%程度とされています。


(5) 競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件(借地借家法第20条第1項)

 借地契約が土地賃貸借契約の場合,競売又は公売で借地上の建物を買い受けた人は,(これに伴って土地の賃借権も譲り受けることになるため)土地の賃借権の譲受けについて土地所有者の承諾を得る必要がありますが(民法第612条),土地所有者の承諾を得られないことがあります。


 このようなとき,借地上の建物を買い受けた人は,競売又は公売に伴う土地賃借権譲受許可の申立てをして,裁判所が相当と認めれば,土地所有者の承諾に代わる許可の裁判を受けることができます。


 この申立ては,建物の代金を支払った後2か月以内にしなければなりません(借地借家法第20条第3項/以上,裁判所HP)。


 もっとも,競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件係属中に,後記(6)記載の介入権行使がなされた場合,原則として,土地所有者(賃貸人,貸主,が借地権者(賃借人,借主,借地人)の建物及び土地の賃借権を裁判所が定めた価格で買い受けることになることとなることに注意を要します。


(6) 借地権設定者の建物及び土地賃借権譲受申立事件(借地借家法第19条第3項,第20条2項)

 前記(4)「土地の賃借権譲渡又は転貸の許可申立事件」及び(5)「競売または公売に伴う土地賃借権譲受許可申立事件」の場合,土地所有者(賃貸人,貸主,地主)には自ら土地の賃借権を借地上の建物と一緒に優先的に買い取ることができる権利(「介入権」といわれています。)が与えられています。


 土地所有者(賃貸人,貸主,地主)は,裁判所が定めた期間内に限り,介入権を行使する申立てをすることができます。


 裁判所が定めた期間内に介入権行使の申立てがあると,原則として,土地所有者が借地権者の建物及び土地の賃借権を裁判所が定めた価格で買い受けることになります(以上,裁判所HP)。


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