3 交通事故事件の基本的な流れ

*6 「交通事故事件の刑事記録」 交通事故事件においては,加害者の損害賠償責任の発生の有無,過失割合の判断等のために,交通事故の態様や事故現場の状況を的確に把握する必要があります。 刑事記録の中には,実況見分調書,被害者の診断書,被害者量や加害車両の写真,供述調書等が含まれており,事故態様を把握するための貴重な資料が多く含まれています。 そのため,交通事故事件の刑事記録を入手する必要性が高いのです。 刑事記録には,①刑事事件が裁判になった場合の刑事裁判記録と,②刑事事件が不起訴処分に終わった場合の刑事不起訴記録があります。 以下,①刑事裁判記録と②刑事不起訴喜六のそれぞれについて入手方法を述べます。 ① 刑事裁判記録の入手 刑事裁判記録は,刑事裁判について裁判所に係属中(判決確定前)であれば,弁護士は,被害者の方から委託を受けることによって,犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律(犯罪被害者保護法)3条に基づき,裁判所から記録を入手することができます。 刑事裁判確定後は,弁護士は,被害者の方から委任していただいた上で,刑事訴訟法53条に基づき,検察庁から記録を入手することができます。 ② 刑事不起訴記録 刑事不起訴記録についても,弁護士は,弁護士法23条の2に基づく照会により,実況見分調書等については入手することができます。 なお,交通事故事件訴訟(民事訴訟)提起後の場合には,文書送付嘱託の申立て(民事訴訟法226条)を行うことにより刑事記録を入手することも可能です。