イ 破産手続に要する時間

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(ア)受任通知発送までの準備  法人破産を選択することを決めた場合,全債権者に受任通知を発送する必要があります。  また,事業継続価値があるような特殊な場合を除き,受任通知発送と同時に法人の事業を停止し,原則として従業員全員を解雇する必要があります(もっとも,法人破産申立てに必要な経理の方等一部の方のみ,しばらく雇用を継続する場合もあります。)。  従業員を解雇する場合,解雇通知書を交付し,解雇通知書の受領証をもらう必要があります。  さらに,売掛金を回収したり,財産保全のための処分(実印・銀行印等を預けていただくこと等も含みます。)を行ったりする必要があることも多いため,これらの点について受任通知発送後速やかに着手できるよう,依頼者の方と弁護士とで綿密に打合せを行います。 (イ)受任通知発送から債権届出まで  おおむね1か月程度かかります。  もっとも,法人の財産保全(とりわけ事業継続価値のある法人の場合で事業譲渡等を早急に行いたい場合)等の緊急の必要がある場合には,債権届出を待たずに保全処分を行ったり,破産申立書類を作成して申し立てることもあります。  その間,法人の代表者等と弁護士とが協力しながら行わなければならない主な事項には,次の①~⑦のようなものがあります。  ① 法人の事業所等についての合意解除及びその明渡し(賃借物件の場合)  ② 所有権留保のついた自動車,リース物件,在庫商品等の返還  ③ 動産・不動産等財産価値のあるものの換価処分,その他財産の保全のための処分(在庫商品,受取手形・小切手の確保等)  ④ 売掛金回収  ⑤ 仕掛工事の達成度の立会い確認  ⑥ 解雇した従業員関係事項の整理  この「解雇した従業員関係事項の整理」には,次の(A)~(E)が含まれます。  (A)従業員に対する「雇用保険被保険者離職票」の発行(雇用保険法施行規則7条)  (B)役所に対する「給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書」の提出(住民税についての特別徴収から普通徴収への切替手続/地方税法317条の6・321条の5,地方税法施行規則9条の5)  (C)社会保険事務所に対する「健康保険資格喪失届」の提出(健康保険法48条)  (D)従業員に対する源泉徴収票の発行  (E)未払給与・退職金について(独)労働者健康福祉機構による未払賃金の立替払制度*38を利用するための準備  ⑦ 破産管財人が税務申告*39を行う場合に備えての帳簿類,領収証等の整理 (ウ)破産申立書類の作成及び裁判所への申立て  当事務所において最低でも1日から2日程度の打合せを経て行います。  書類の不備がある場合でも,すみやかに追完していただければ申立書類を完成いたします。 (エ)申立てから破産手続開始決定*40まで  東京地方裁判所や横浜地方裁判所においては即日(早期)面接制度*41がとられているため,申立日か,申立日から数日で破産手続開始決定がなされます。  しかし,横浜地方裁判所川崎支部,同相模原支部,同横須賀支部などでは破産審尋(審問)*42制度がとられており,申立日からおおむね1週間から2週間後に行われる破産審尋(審問)日に,裁判所に弁護士と法人の代表者(依頼者)の方が同行し,その場で破産手続開始決定をなされることが多いため,おおむね申立てから破産手続開始決定まで1~2週間かかることになります。  なお,横浜地方裁判所小田原支部では,原則として破産審尋(審問)期日が開かれずに書面審理だけで破産手続開始決定がなされますが,その場合でもおおむね申立てから破産手続開始決定まで1~2週間かかります。 (オ)破産手続開始決定から債権者集会*43期日まで  おおむね3か月程度かかります。  もっとも,管財人の財産調査等が終わらないと債権者集会が続行となりますので,その場合,さらに3か月程度かかります(さらに続行になるとさらに時間がかかります。)。
*38 「未払賃金の立替払制度」  未払賃金の立替払制度とは,企業が「倒産」したために賃金が支払われないまま退職を余儀なくされた労働者に対し,その未払賃金の一定の範囲について,(独)労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度です。  詳しくは,(独)労働者健康福祉機構のHP(http://www.rofuku.go.jp/kinrosyashien/miharai.html)をご覧下さい。 *39 「税務申告」  破産管財人は,原則として,以下の事業年度についての税務申告を行う必要があります。  ① 解散事業年度(事業年度開始の日から破産手続開始決定の日まで)  ② 清算事業年度(破産手続開始の日の翌日から事業年度の末日まで)  ③ 清算確定事業年度(事業年度末日の翌日から残余財産確定の日まで)  このうち,上記②清算事業年度と上記③清算確定事業年度における税務申告は破産管財人の手持ちの資料で行うことができますが,上記①解散事業年度の税務申告については,法人の代表者等個人か破産申立人代理人(弁護士)のほうで書類を整理しておかないと,破産管財人が適切に税務申告を行うことができません。  そのため,税務申告に必要な書類の確保・整理が必要となるのです。 *40 「破産手続開始決定」  破産手続開始決定とは,裁判所が,債務者について「支払不能」の状態にあることを認めるという決定を出すものです。従来は「破産宣告」という用語が使われていました。  破産手続開始決定が下されると,債務者は「破産者」として,免責許可決定を受けるまで一定の制限を受けるようになります。 *41 「即日(早期)面接制度」  弁護士が債務者(申立人)の代理人として自己破産(破産手続開始・免責許可)申立てを行った場合に,裁判官が弁護士である申立人代理人と面接をするだけで破産手続開始決定をするかどうかを判断する制度です。 *42 「破産審尋(審問)」  破産審尋(審問)とは,裁判官と債務者(申立人),債務者(申立人)の代理人である弁護士が面接をし,破産手続開始決定をするかどうかを判断するものです。  申立書に不備がない場合には,債務額がいくらであるかを把握しているかどうか等簡単な事項だけ質問されることが多いようです。 *43 「債権者集会」  債権者集会とは,裁判所において,管財人が債権者に対して財産がどれくらい集まったか等の情報提供を行うために開かれるものです。  破産者,破産者(申立人)代理人も出席する必要がありますが,銀行等の金融機関や下請業者のうち一部を除く大多数の債権者は債権者集会に出席しないのが現状です。

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