Q6 被相続人の死亡から3か月以上経っていた場合には相続放棄はできないのでしょうか?
A (1)被相続人の死亡の事実自体を知らなかったときや,被相続人の死亡の事実自体は知っていたものの被相続人には債務などないと思っていたのに,被相続人の死亡から3か月以上経ってから,相続人に対して債務の支払を求める督促状が届くような場合もあります。
(2)このような場合であっても,相続人は,被相続人の死亡(相続の開始)を知った時から3か月以内に相続放棄をすることが認められているので,「知った時から3か月以内」といえる場合であれば,家庭裁判所に対して相続放棄申述受理申立てを行い,認めてもらうことができることもあります。
そして,家庭裁判所は,相続放棄の申述を却下すべきことが明らかな場合を除き,受理すべきとされていることがから(東京高決平成22年8月10日家裁月報63巻4号129頁参照),相続放棄の申述を受理してもらうことはそれほど難しいことではありません。
(3)もっとも,「知った時」とは,相続人が相続財産の全部もしくは一部の存在を認識した時または通常これを認識しうべかりし時(最判昭和59年4月27日民集38巻6号698頁)ときわめて限定されており,仮に相続放棄の申述を受理してもらっている場合であっても,債権者から「知った時」から既に3か月以上経過していると主張された場合,敗訴する(債務の支払いを拒めない)可能性はあり得ます。
したがって,被相続人の死亡から3か月以上経つ前に相続放棄の申述受理申立てを行うのが無難であることは間違いありません。
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